CPM分析とは?RFM分析との違いも解説!顧客を育成し売上を向上させる

 2019.06.03  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

顧客情報を蓄積し、分析し、顧客との関係性を構築・維持することで満足度向上や利益向上を図る取り組みを「CRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・ネジメント)」と呼びます。

ただし、今回ご紹介するのはこのCRMではなく「CPM(Customer Portfolio Management:カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント)」です。主にECサイトで活用が進んでいるこのCPM。一体どういう取り組みなのでしょうか?本記事はCPMを解説するとともにRFM分析との違いもご紹介します。

CPMとは?

CPMはECサイトにおいて取引実績のある顧客を複数のグループに分け、顧客の状態(カスタマー・ポートフォリオ)を視覚化し、それぞれのグループ属性(セグメント)に沿ったオファーやマーケティング活動を展開することで、優良顧客層を拡大していくというマネジメント手法です。

たとえば、一度の購入以後にECサイトを利用していない「初回離脱グループ」に対してはコミュニケーションの回数を絞った施策を展開し、長期間にわたって一定金額以上の購買実績を持つ「優良現役顧客グループ」に対しては、ロイヤリティプログラムやユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)を重視したコミュニケーションを行うなど、グループ属性に沿ったオファーやマーケティング活動を実施していきます。

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CPMにおける10グループの分類

CPMへ取り組む最大の理由は「リピーター数を増加させること」にあります。多くのECサイトは、売上全体に対しリピーターの割合が約8~9割となっています。ということは、リピーターを増やすことができれば、ECサイトの売上は着実に上がるということです。

そこでCPMでは、顧客・の購入回数・購入総額・在席期間(初回購入から最終購入日までの経過日数)・離脱期間(採取購入日からの経過日数)といったデータをもとに、顧客を次の10グループに分類します。

 

顧客グループ

特徴

1

初回現役客

設定した期間内で初回購入実績のある顧客

2

よちよち現役客

設定した期間内に2回以上購入実績のある顧客

3

コツコツ現役客

設定した期間内で安定してリピート購入のある顧客

4

流行現役客

短期間で設定金額以上の購入実績のある顧客

5

優良現役客

長期間にわたって特定金額以上の購入実績のある顧客

6

初回離脱客

設定した期間内で初回購入後、離れてしまった顧客

7

よちよち離脱客

設定した期間内に2回以上購入実績のあった顧客

8

コツコツ離脱客

設定した期間内で安定してリピート購入があり、離れてしまった顧客

9

流行離脱客

短期間で設定金額以上の購入実績があり、離れてしまった顧客

10

優良離脱客

長期間にわたって特定金額以上購入実績があり、離れてしまった顧客

こうして分類したグループごとにオファーやマーケティング活動を展開することで、ある程度パーソナライズされた取り組みを実施することができます。本来ならば顧客ごとに「完全にパーソナライズされている」のが理想的なのですが、その分のマーケティングシナリオを用意することは不可能ですし、現実的に考えるとやはり10グループほどに分類するのが良いでしょう。

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CPMを実施するポイント

CPMは単に顧客のグループ分けをして、グループごとにオファーやマーケティング活動に取り組めばよいわけではありません。大切なのは、どういった割合で顧客グループが推移しているかに着目することです。

たとえば現役顧客層が厚くなっていればECサイトは安定した方向へ進んでいますが、離脱顧客層が増加していたり、優良離脱客が増えていたりする場合は危険信号となります。つまり、CPMに取り組むことでECサイトの経営状況や顧客状態を可視化することが可能です。

CPMのポイント

●集計表作成

CPMで分類した顧客グループを縦軸に、月ごとの人数を横軸にして集計表を作成します。

●平均LTVと平均在籍期間の入力

作成した集計表だけでは人数の推移と増減しか判断できません。そのため、各月の平均累計購入金額(平均LTV)と、平均在籍期間を入力した集計表を作成します。

●データのグラフ化

これを月ごとに作成した上で、Excel等を活用してグラフ化し、全体の顧客数増減やグループの推移などを読み取ります。

たったこれだけのポイントを押さえるだけでCPMを実施できます。もちろん、各顧客のデータ収集に時間がかかるため、専用ツールなどを用いてデータの集計と分析を効率化している企業が多いでしょう。

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RFMとの違い

CPMと同じくECサイトにおける分析手法としてよく取り入れられているのが「RFM(Recency Frequency Monetary:リセンシー・フリクエンシー・マネタリー)」です。これは「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の頭文字を取り、それぞれの指標で顧客を評価することで、「優良客」「見込み客」「新規客」「離反客」に分類して、離反客以外の顧客に積極的にアプローチするための取り組みです。

RFMは非常に有名な手法ですし、大手ECサイトが取り組んで売上向上に成功したことから注目されました。しかし、RFMには1つ問題があります。それが離反客に1度分類されると、アプローチが困難になるということです。

過去に頻繁に購入していた優良客が一定期間購入しない場合、離反客に分類されてしまいます。そうなると、離反客の中で優良客を分類する方法がないため、結果的に優良客を切り捨ててしまうことになります。つまりRFMは「今商品を購入してくれている顧客」だけを優良客としてオファーやマーケティング施策を展開するので、短期的に売上を向上することはできても、顧客との継続的な関係を築き、長期間にわたって取引をするような顧客創出は難しいことになります。

この問題が表面化したことで、今までRFMへ積極的に取り組んでいた企業も徐々にCPMへと移行しています。

ただし、必ずしもRFMは「もう使えない」というわけではありません。短期的な売上向上にはしっかりと効果を発揮してくれるため、CPMと併用することをおすすめします。RFMで短期的な売上向上を狙いつつ、その裏ではCPMを実施して顧客との関係構築に取り組む。短期的な経営改革が必要なECサイトにおいては有効的な方法です。

CPMは「顧客を育成する」という視点で取り組む

最後に、CPMへ取り組む上で大切な考え方を紹介します。それが「顧客を育成する」というものです。昨今のマーケティング活動では「ナーチャリング(育成)」というキーワードが重要とされているように、ECサイトが顧客とかかわる中で、初回現役→よちよち現役客→コツコツ現役客→流行現役客→優良現役客といったように「顧客を育成する」という概念で取り組むことによって、適切なオファーやマーケティング活動が見えてきます。常に「顧客を次のステージに上げるには、何が必要か?」を考え、顧客を育成していくという視点でCPMに取り組んでいきましょう。

また、CPMはMAツールやCRMシステムの機能として組み込まれていることも多いため、システムを活用して効率的にCPMを実施することも検討してみましょう。

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