予算管理の基本を理解し手順を学ぶ

 2019.11.08  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

予算管理を始めたいけれど、どうやったらいいか分からないし、そもそも予算管理の本質が理解できていない…。そんな悩みを抱える方に向けて、本稿では予算管理の基本と手順についてご紹介していきます。

予算管理とは何なのか?なぜ必要なのか?どのようにして実施するものなのか?気になる疑問を検証していくので、ぜひ参考にしてください。

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予算管理とは?

会社が経営活動を続けていく目的の1つに「利益の創出」があります。利益が出なければ、社員に給与を払うことができませんし、会社として存続することもできません。そのために、会社では短期・中期・長期に合わせた利益目標を計画します。簡単に理解するために、「短期=月次」「中期=四半期」「長期=年度」と考えましょう。

最初に長期の利益目標を決め、それと中期・短期と落とし込んでいきます。そうすれば、短期の利益を追いさえすれば自然と中期・長期の目標が達成される、というわけです。管理を効率化するために、目標を細分化する作業と言ってもよいでしょう。実際には3~5年を長期として策定する場合もあります。

その一方では、これらの利益目標を達成するための予算も策定していきます。

予算とは

予算とは「予め用意しておく費用」のことです。会社が利益目標を達成するには、当然ながら社員の働きが必要ですし、製造業なら設備や生産部品なども必要です。これらは当然タダでは手に入らないものなので、会社はそこに費用を投じて、利益目標が達成されるだけのリソースを確保しようとします。これがいわゆる予算です。

ただし、予算はいくらでも構わない、というわけではありませんね。極端な話、利益目標よりも予算が多ければ赤字ですし、会社は最小の予算で最大の利益を生み出さなければいけない使命があります。また、会社の資源は無限ではないので、限られた資源の中で利益目標を達成するために、同時に予算計画を立てることが大切なのです。

ちなみに予算は、売上予算・原価予算・経費予算・利益予算などに分けられています。売上予算は、売上目標であり、過去の売上実績を考慮したプラスになるよう設定するのが一般的です。原価予算は商品仕入れや原材料仕入の見積もりということになるでしょう。ただし、仕入れは変動費であり売上に応じて増減するものなので、売上予算と合わせての調整が必要になります。

経費予算とは、会社が経営活動を持続していくために必要な予算のことです。販管費やオフィス・テナントの家賃、人件費、広告宣伝費など多岐にわたります。売上の変化に影響されることが少ないので、予算と実績の比較が行いやすいでしょう。

そして利益予算とは、売上から原価と経費を差し引いた数値です。売上予算が達成されなくても、原価や経費の削減に成功していれば、利益予算を達成することはできます。

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予算管理と会計管理の違い

経理部の大切な仕事の1つに「管理会計」があります。予算管理と混同されている方も多いかと思いますので、違いをハッキリさせましょう。

管理会計とは、会社が経営上の意思決定を下すのに必要な情報を提示するための業務です。月次決算書などを通じて会社の数字を読み取り、リアルタイムな経営情報を上層部に報告します。経営者や役員らは、その情報を見ながら経営の舵切りを行っていく、というわけです。

ただし、一口に管理会計といっても手法も指標も幅広く、さまざまな情報をもとに経営判断を下していきます。実は、予算管理はそのうちの1つです。立案した予算計画が正しく達成されているかどうか、達成されていないのならば問題は何かなど、これらの情報は意思決定を行う上でとても重要です。

従って、予算管理は会計管理の一部だと理解しておくのがよいでしょう。

予算編成のやり方

予算管理では正しい予算編成が強い基盤になりますので、まずは予算管理のやり方を簡単に説明します。

1.目標利益に対する予算策定

最初に会社が目標とする利益を策定します。予算として営業利益や経常利益を用いるケースが多く、これらの大半は経営層が決定します。資産運用など財務活動が多い会社では、経常利益を目標とするケースが多いでしょう。

2.費用の予算化

利益目標が策定できたら、費用の予算化を行いましょう。大まかに「人件費」「減価償却費」「その他費用」に分類できます。

3.人件費

固定費である人件費の予算策定から始めるのがベターな方法です。担当は経理部、人事部、経営企画部などです。

4.減価償却費

一般的には経理部から部門ごとの固定資産リストを配布し、次年度の購入予定の資産を記入してもらいます。その後、資産の見積もり金額をもとに予算を算出していきます。

5.その他費用

オフィスやテナントの賃料、ネット回線通信料、保険料、光熱費などさまざまな費用項目があります。中には月々固定の費用と変動するものがあるので、費用項目を整理することが大切です。

6.売上予算の策定

売上計上が発生する部門において、次年度の売上予算を検討します。前期の予算、実績をもとに次年度の見通しを考え、利益目標を達成するための予算を策定します。

7.販売管理費の予算化

販売費および一般管理の予算化を行いましょう。売上計上部門に策定が任されている場合は、売上予算と同時に対応するのが一般的です。

8.部門ごとの予算集計

予算編成をまとめている部門において、各部門が作成した予算情報を集計し、合算して会社全体の予算として策定します。

9.利益予算との差異調整

経営層が決定した利益予算と、部門ごとに集計した予算の利益金額に差異があったり、目標に届いていなかったりする場合は、各部門での調整を実施します。

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予算管理のやり方

予算管理を難しく考えてはいけません。手順は大きく分けて3つに分類できます「予算編成」「予算案執行」「フィードバックです。予算編成で予算額が確定したら、予算達成に向けて事業活動を行っていきます。

一般的には月次で目標予算と実績を突き合わせて比較し、順調に達成できているかを把握します。達成できていない場合、何が問題なのか?何が原因なのか?を突き止めて、改善策を打ち出したり予算額の修正を行ったりいます

このように、予算管理の手順はそれほど難しいものではありません。大切なのは、問題を把握して原因を突き止め、改善につなげていくスキルです。そしてPDCAサイクルを継続的に回し、予算達成に向けた取り組みを行っていきます。

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予実分析のやり方

予算は目標であり、実績は結果です。予算管理担当者は、2つの数値を突き合わせて分析する必要があります。売上予算や利益予算などの数値目標において、実績とどの程度の差異があるかを確認した上で、問題があるかどうかを分析します。単純な改善で済む場合もありますし、そもそも予算が間違っていたという場合もあります。

予実管理を実施するには、月次試算表を作成するのが単純明快です。各数値を予算と比較して、その数値の誤差は何が原因なのか?目標達成ができないのは内部要因なのか外部要因なのか?原因究明し、問題を解決していきます。

いかがでしょうか?予算管理は決して難しいものではありません。しかしながら、そのプロセスは複雑になりがちなので、正確な予算管理が行えない可能性があります。その際は、予算管理ソリューションを検討し、予算管理のシステム化を検討しましょう。

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