プロキュアメントの意味と業務内容

 2018.05.23  クラウドERP編集部

  新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

日本では「調達部」という専任部署を設けていない会社が多く存在します。調達部は主に原材料や部品、あるいは製造や販売に必要な設備などを仕入先から購買するための部署です。会社によっては「プロキュアメント」や「購買部」と言ったりもします。多くの会社は調達に対して「会社に必要なモノを購入する、最も支出の多い部署」としか捉えていない傾向にあります。

しかし近年になって、プロキュアメントの重要性に気付き始めた人も少なくありません。

そこで今回はプロキュアメントの役割と業務内容をご紹介し、その重要性を再認識していただきたいと思います

利益を生むプロキュアメント

支出ばかりだと考えられているプロキュアメント。ただしアプローチを変えることで、利益を生み出すための部署に生まれ変わることができます。それを知るために、利益拡大の仕組みについて考えてみましょう。

会社が利益を創出するためには、大まかに3つの施策が必要です。

①売価の値上げ

②販売量の増加

③原価の低減

まず、②販売量の増加に関してはすべての企業が積極的に取り組んでいるものです。単純に考えて、販売量が増えるほど利益も上がるので当然のことでしょう。製品の競争力の強化は当然ですが、さらに営業力強化やマーケティング施策の展開によって販売量の増加を狙います。

つぎに、①売価の値上げによって利益創出を狙う会社は少ないでしょう。売価が上がると顧客が離れていくリスクがあり、その結果利益が低減してしまうかもしれません。原材料の高騰などの理由が無い限り利益創出のために売価を上げることは危険です。

では、③原価の低減に取り組んでいる会社はどれくらいいるでしょうか?おそらく②販売量の増加に取り組んでいる会社ほどではないかと思います。しかし、原価の低減に努める方がよほど効率良く利益創出を実現することができます。

たとえば年間100億円の売上高があり、売上高総利益率が20%の企業があると仮定します。(ここでは話を単純化するために営業利益率ではなく、販管費などを計算しない売上高総利益率で計算しています)会社にとっての売上総利益は20億円です。この会社が②販売量の増加によって売上高を10%と拡大すると、売上高は110億円になり、原価のすべてが変動費と仮定すると売上総利益は2億円アップします。

今度は売上高が拡大するのではなく、原価が10%低減すると純利益はどうなるでしょうか?100億円の売上高は変わらなくても売上高総利益はなんと28億円になり、8億円も増加します。同じ10%の努力でも、原価を低減する方が販売量を増加するよりも圧倒的に効率良く利益を創出できるということです。単純化したケースではありますが、傾向としてはこのようなことが言えるでしょう。

これだけでも、会社にとってプロキュアメントがなぜ重要かが理解できます。原価を低減するのは当然プロキュアメントの仕事であり、支出しかないと考えられてきたプロキュアメントが実は利益創出のための宝箱だったのです。

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他にもあるプロキュアメントの役割

プロキュアメントの役割は原価低減に向けた施策を取ることだけではありません。経営はもちろん製造などにおいても、非常に重要な役割を担っています。

役割①生産計画のスムーズな進行

製造業において生産計画はQCD(品質、コスト、納期)を向上するために大切なスケジュールです。生産計画通りに生産が進めば、自社にとってはもちろん顧客にとっても最良の取引ができます。この生産計画をスムーズに進行するために重要なのがプロキュアメントの調達計画です。生産計画に対しいつまでに、何を、どれくらい必要かを明確にして調達業務を行います。

極端な話、プロキュアメントによる原材料や部品の調達が無ければ製造はできません。こうしたところでも、プロキュアメントは重要な役割を担っています。

役割②仕入先の開拓および選定

新製品の生産がスタートするにあたって、既存の仕入先ではなく新しい仕入先を開拓したり選定することがあります。こうした機会は会社にとっても既存の仕入先関係を見直す良い機会なので、積極的な開拓と選定をしたいところです。仕入れ先を一定にすることはスムーズな生産を行う上では良いことですが、あまりに固定化すると原価低減が難しくなることがあり、会社の適切な利益を生み出せません。

時には思い切って新しい仕入先を開拓し、会社にとって本当に適切な仕入れ先を選定することも大切です。

役割③仕入れ先の管理

最近では製造業や販売業において「サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)」が重視されています。これは原材料や部品、および商品の仕入れから最終消費者に商品が届くまでのプロセスを一つの鎖(供給連鎖)として捉えて、プロセスごとの最適化を図ることで市場供給のスピードを向上したり、市場分析のための情報収集を行うためのマネジメントです。プロキュアメントはその起点として仕入先を適切に管理することが強く求められます。

単に納品状況を追跡するだけでなく、仕入れ先の生産能力や経営状況を定期的に評価して、万が一問題が発生しそうな場合は迅速に他の仕入れ先に変更できるよう全体を管理します。

仕入れ先管理ができていないと原価高騰や生産遅延などのリスクに対応できないので、プロキュアメントの役割として非常に大切です。

以上がプロキュアメントの大まかな役割です。いずれも会社の利益を確保したり、全体業務を改善するために欠かせないものですね。これまでプロキュアメントは「支出が多いだけの部署」と考えてしまっていた方は、この機会に経営や製造においてかなり重要な役割を持っていると再認識していただきたいと思います。

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プロキュアメントを経営に絡めるためには?

プロキュアメントが会社にとって重要な存在と改めて認識したとしても、具体的にどのようにして経営に絡めていけばよいのかと悩む方も多いでしょう。ここではそのポイントについてご紹介します。

まず大切なことはプロキュアメントを含め会社に存在する部署全体が、一つのデータベースを共有して業務システムを利用する情報基盤を整えることです。部署ごとに業務システムが独立している状態では、各システムから生成されるデータを活かしきれないことが多く、結果としてプロキュアメントを経営に絡めていくことが難しくなります。

それに対し、統合的な情報基盤が整えられている環境では各システムが繋がっていて、一つのデータベースを共有しているのでデータのやり取りが非常にスムーズに進みます。たとえばプロキュアメントが製造部や営業部の情報をリアルタイムに確認し、それに応じて原材料などの調達を計画することも可能です。もちろん逆に他の部署がプロキュアメントの情報を確認し、それに応じた業務を展開することもできます。

こうして各システムが繋がる情報基盤があれば、プロキュアメントは以前よりもグッと経営に近い存在になるでしょう。

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そこでERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入をおすすめします。ERPは、そのままでは統合が難しい各業務システムを統合された状態で提供するITシステムです。プロキュアメントはもちろん、営業、経営、販売、総務、人事、製造など各部署が一つのデータベースを共有して業務システムを利用でき、統合的な情報基盤によってあらゆる業務の効率と生産性をアップします。

皆さんが「プロキュアメントを積極的に経営に絡めたい」、「プロキュアメントを利益創出のための部署に転換したい」と考えている場合には、ERPの導入をぜひご検討ください。

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