購買管理の定義と5原則について解説

 2020.01.22  クラウドERP編集部

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製造業や小売業で欠かせない業務だけれど、知っているようで意外と知らないのが「購買管理」です。調達管理と混同されることが多いですし、「単に資材を仕入れる業務じゃないの?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。本記事では購買管理の定義その5原則を中心に、購買管理の基礎を解説します。

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購買管理とは?調達管理との違い

日本規格協会(JSA)は、日本工業規格となるJIS Z8141:2001の中で購買管理を次のように定義しています。

生産活動に当たって,外部から適正な品質の資材を必要量だけ,必要な時期までに経済的に調達するための手段の体系。

備考 その機能として,内外製区分,購買計画,仕入先開と選定,取引契約,発注管理,価格管理,原価低減活動,納期管理,品質管理,検収支払管理,仕入先管理,リスク管理,購買業務規定の整備などが含まれる。

 

引用:『日本工業規格 JIS Z8141:2001 生産管理用語

つまり、単純に資材の仕入れを行うのではなく、「適正な品質の資材を必要量だけ、必要なじきまでに」という点が大きなポイントになります。これを実現するために購買計画や仕入先選定、発注管理や原価低減活動などさまざまな業務に取り組みます。

一方、調達管理とは生産計画の中で、生産に必要な原材料や部品を、必要になるその時までに仕入れて、供給可能な状態にすることを指します。あるいは人材や設備など生産能力に関わる部分を生産計画に従って整えることを調達管理と呼ぶこともあります。

調達管理は生産計画を実現するために、購買管理を含む広義の意味合いを持っており、資材だけを生産計画通りの整えることに限りません。これが購買管理と調達管理の違いです。

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購買管理の5原則

購買管理には、企業の生産計画を実現するための適切な業務像を示す5原則があります。それは以下のような内容です。

1. 適切な取引先の選定

取引先都合により仕入プロセスが滞ったり、発注した資材や数量が間違ったりすると購買管理に限らず生産計画に多大な影響を与えます。安心かつ安定した仕入を実現するためにはまず。信頼のおける取引先を選定しなければいけません。

2. 適正な品質の確保

製造業の品質は、仕入る資材の品質が大きく影響します。一定水準を超えた品質でないと完成品の品質が下がる可能性が高いため、仕入先から常に適正な品質を確保しなければいけません。

3. 適切な数量の決定

必要な数量の資材が足りていないと生産計画に支障が出ますし、かといって資材の余剰在庫があると予算を無駄に費やすことになります。資材にはいつも「適正量」が決まっているため、購買管理ではその適正量を決め、仕入、管理しなければいけません。

4. 適切な納期の指示

納期設定を誤ると生産計画通りに製造が進まなくなり、大きなトラブルに発展する可能性があります。購買管理では生産管理を参考にしながら購買計画を立て、常に適切なタイミングで納品できるよう仕入先に指示を送ることも大切です。

5. 適切な価格での購入

資材の仕入価格は最終的な製品価格や企業利益に大きく影響する要素です。品質を維持しながら可能な限り資材を安く仕入れることが、製品価格に反映させたり企業利益を最大化したりするための重要ポイントになります。

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原価管理システムの選び方

購買管理の5原則は、ガイドであってルールではありません。5原則を意識することはとても大切ですが、それだけでは何も実現されないのが実情です。そのため、購買管理の肝になるのは「強い問題意識」です。上記の5原則を念頭に置きながら、「各原則の適正化を実現するには何に取り組めばよいのか?」と常に考え、施策を立て、実施し、継続的な改善活動に取り組むことで購買管理の効率性や効果を最大化できます。

日本企業の購買管理実態

日本企業の購買管理が実態的にどうなっているのか?JMA(日本能率協会)は2017年10月に、企業ごとの購買管理実態について調査した資料(https://jma-cpp.jp/wp-content/uploads/2017/10/jittai_report_2017.pdf)を発表しています。資料によると、以下のような結果が得られています(一部抜粋)。

<Q1. 調達購買担当役員について>

他部門を兼務した調達購買役員がいる…42.0%

事業部長にリポートする調達購買責任者がいる…30.5%

専任の調達購買担当役員がいる…19.5%

調達購買役員に直接リポートする調達購買責任者がいる…8.0%

<Q6. 生産計画確認会議について>

生産管理部門の責任において、確認会議を行い、調達購買 部門も参加している…34.4%

担当者が集まって確認会議を行っている…24.0%

生産計画は事業部門のトップの責任において、確認会議を 定期的に行い、調達購買部門も参加している…22.5%

生産管理部門からの一方的な通達のみ…19.1%

<Q10. 原価低減活動について>

モデル別原価管理ではなく、年間の原価低減目標額に対して 関係部門と定期的な進捗会議を開催している…34.4%

関係部門と連携したプロジェクト活動は行っておらず、調達 購買部門のみの活動を行っている…30.2%

関係部門と連携した製品群別あるいはモデル別原価管理を 行い、事業部門のトップに毎月進捗確認会議を開催している…18.7%

関係部門と連携したモデル別原価管理を行い、プロジェクトリーダーを中心に担当者レベルで毎月進捗会議を開催している…16.8%

以上の情報から、日本企業の購買管理に対する積極性はあまり高くありません。中小企業製造業における、製造原価に占める資材費の平均は40%~50%と言われているので、様々な施策から資材原価を下げることに成功すれば、利益は確実にアップするはずです。やはりその重要性を十分に理解した上で、購買管理のもっと重点を置いて様々な取り組みを実施する必要があります。

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購買管理へ徹底的に取り組むメリット

これまで購買管理へ積極的に取り組んでいなかった企業が、徹底的に取り組むことでどのようなメリットがあるのか?

まず目に見えて現れるのが「原価低減の実現」です。企業の利益アップを狙うのにあたり、売上を上げるよりも原価を低減する方が、より少ない努力で利益アップが実現できる可能性があります。また、原価を下げつつ一定水準の品質を保つことも可能なので、企業のQCDを満たすことができるでしょう。

他にも、徹底した管理による仕入リードタイム、資材供給リードタイムの削減などが可能です。資材の購入、仕入、在庫、供給までのリードタイムを削減できれば、生産効率性が大幅に向上し、これも利益に貢献できます。

こうした購買管理へ徹底的に取り組むためには、Oracle SCM Cloudのような購買管理システムや統合的なERP(Enterprise Resource Planning)などの導入が有効です。購買管理徹底化のためのシステム導入や、現在の購買管理プロセスの見直しなどを検討しましょう。

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