間接材の調達の問題点とコストを最適化する方法

 2020.01.29  クラウドERP編集部

生産コストの削減を目指す際に見落とされがちなのが「間接材(副資材)」です。製造に直接影響がないことからコスト削減の余地が無い、特に問題がないように思われていますが、実際のところ間接材の調達には問題点が多く、今までの視点を変えることでコスト削減に余地が大いにあります。本記事では間接材調達の問題点と、コスト削減を目指すための方法を紹介します。

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間接材は意外と管理が難しい?

原材料や部品など製造に直接かかわる資材(直接材・主資材)とは異なり、製造に直接かかわりのない工具、装置、保安資材、消耗品、補修用品・部材、燃料などが間接材にあたります。

生産活動の中で直接材の徹底した管理の重要性が叫ばれています。資材の管理漏れは直接的なコスト増になりますし、資材の品質が悪ければ製品品質にも影響を及ぼすため、徹底した管理が大切なことは確かです。ただし、直接材の管理は決して難しいわけではありません。

すべての製造業は生産活動を進めるにあたり生産計画を作成します。それをもとに調達計画、仕入計画などを立てれば、必要な直接材と必要な時に仕入、製造に供給することは比較的に容易に行えます。さらに、直接材仕入時の検査工程などを確立していれば、品質管理も行えますし資材の管理漏れも防げます。

一方、間接材のための仕入計画を立て、生産計画をもとにして戦略的に間接材を仕入れようとする企業はいないでしょう。「必要と感じた時に、必要なものを仕入れる」というのが間接材の一般的な考え方なので、実は管理が難しいのは直接材ではなく間接材なのです。

また、間接材の種類と用途は非常に広いため、調達にかかるコストの全体像や重要性が認識されづらく、間接材コストまで神経を伸ばしている企業はそうそういません。直接材に比べると1回ごとの支出金額も少ないですし、製造に直接関係にある直接材に目を向けてしまうのも無理はありません。

しかし、1回ごとの支出金額は少なくても、塵も積もれば山となるように、間接材コストは積もり積もって大きな支出になります。つまり、間接材の扱いを見直すことでコスト削減はもちろん、調達効率の改善にもつながるということが言えます。

間接材のコスト削減を実施するポイント

間接材のコスト削減を、直接材のコスト削減と同じと考えてしまうと削減効果はなかなか得られません。直接材とはまったく異なった資材なので、独自のコスト削減ポイントを意識する必要があります。

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ポイント1. 間接材コストの可視化

最初に取り組むべきポイントは「間接材コストの可視化」なのですが、これが最も難しい施策でしょう。組織全体で間接材の購入に使用している支出金額、棚卸金額、在庫の取り扱い状況について把握しなければいけません。この点は直接材と同じ考え方なのですが、なにせ品種や点数が多いことから可視化が難しくなっています。

ただし、間接材のコスト削減にと取り組み始めたうちは概算でも構いません。その中でも意識すべきは在庫状況の把握です。不要な間接材調達による過剰在庫はコスト増を招く一番の原因なので、在庫状況を把握するだけでも一定のコスト削減効果があります。

間接材コストの削減を本格的に実施するためには、間接材発注にかかっている作業コストも可視化しましょう。作業プロセスの無駄を発見し、排除できると業務効率もアップするのでなお良し。発注や仕入、請求にかかるリードタイムも調査することで、さらに高度な間接材コスト削減が実現できます。

ポイント2. 間接材の範囲を見直す

間接材の中には、製造に関係ある消耗品しか実際には使われていない、種類ごとに管理部門がバラバラで管理方法が統一されていないケースがあります。そこで、間接材の範囲を見直すのが効果的です。

今まで仕入れてきた間接材の中には、「あっても無くても大して困らない」という資材も多く、それらの間接材の仕訳を行って要不要な資材を明確にするとで無駄な調達と在庫を排除することができます。また、設備の修理費など無形サービスの間接材も視野に入れることで、幅広いコスト削減に貢献できます。

間接材の範囲を定義したら、調達部門が間接材全体を一元管理できるように新しい管理プロセスを構築することもお忘れなく。

ポイント3. 仕入の標準化に取組む

間接材の仕入プロセスや発注方法などを標準化(マニュアル化)することで、多くの無駄を削除できます。企業によっては担当者ごとに発注方法が異なるケースがありますし、部門ごとに必要な間接材を独自発注してしまっているケースもあります。こうした状況では仕入れに関わる業務にばらつきが生じ、多くの無駄が発生します。

仕入プロセスの標準化に関しては、調達担当者個人のレベルではなく社内全体の仕入フローや発注方法を見直し、全社的に統一できるよう取り組みましょう。カタログ購買などのシステム化を取り入れることで、標準化を実現しやすくなります。

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ポイント4. 仕入業者の競合を促す

直接材の仕入先は積極的に開拓しても、間接材の仕入はいつも同じ仕入先に頼っているケースが多いでしょう。それでは、好条件での仕入れは難しいですし間接材コストの削減も難しくなります。

間接材にいたっても現状の仕入に満足せずに、仕入先の積極的な開拓や相見積もりによって品質の高い資材を低コストに仕入れられるように目指すことが大切です。複数の業者に見積依頼を出して競合させるためには、従来の仕入価格や今後の仕入予定などを明確にした上で、比較検討することが重要です。

ポイント5. 持続的なPDCAサイクル

間接材コストの削減で最終的に大切なのは、持続的にPDCAサイクルを回すことです。1回の取り組みで得られる効果には限りがあるため、PDCAサイクルを回して調達プロセスなどを改善していくことで、間接材コストの削減を最大化できます。

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売上向上よりも、コスト削減の方が利益に与える影響は大きい

営業利益を拡大するためには「売上向上あるのみ」と考える企業も少なくありません。しかし、それよりもコスト削減を実現する方が利益に与える影響は大きいので、売上向上と同時にコスト削減に取り組むことで利益拡大効果を最大化できます。

その中で、間接材コストは見落とされがちなコストなので、積極的に削減を目指すことで営業利益の大幅アップも夢ではありません。

間接材コスト削減にためにはERP(Enterprise Resource Planning)もご検討ください。ERPは調達関係のシステムを含む、基幹系システムを事前に統合したパッケージ製品なので、各システムが相互連携することで組織のあらゆる情報を一元管理できます。その中で間接材管理や仕入フローに関する情報も管理できるようにすれば、間接材コストの削減や仕入フローの最適化なども実現できます。

クラウドERPなら導入費用を抑えながら大規模な統合基幹システム環境を構築でき、かつアプリケーション開発によってさまざまな業務にフィットさせられます。間接材コスト削減はシステム化なども含めて、幅広い視野で取り組んでいきましょう。

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