会計とファイナンスの違いご存知ですか?

 2019.04.18  クラウドERP編集部

  投資対効果(ROI)特集

会計とファイナンスは、「日本語か英語かの違い」と認識していませんか?どちらも同じようなシーンで使われる言葉なので、その意味を混同しがちですが、実は会計とファイナンスには明確な違いがあります。本稿でその違いを理解し、1つの知識として吸収していただきたいと思います。

会計とは?

会計は英語で「アカウンティング」であって、ファイナンスではありません。一般的な認識としては、商品やサービスを販売して得た売上から、その売上を生み出すために費やした経費を差し引いた「利益」を扱うのが、企業における会計です。会計で扱うのは主に、過去に得た利益になります。

実は、「会計」は大きなカテゴリであってその下には「財務会計」と「管理会計」という、異なる会計が存在しています。

財務会計

決算期に、年間を通じて会社から出ていったお金、入ったお金、その使い道、事業ごとの利益などなど、株主や投資家向けに会社の経営状況を報告する目的で行うのが財務会計です。法によって作成すべき書類などが決まっており、上場企業やその子会社・グループ会社では必須業務になっています。

管理会計

経営者が会社の経営状況を把握し、正しい経営戦略を立てるための情報を提供するのが管理会計です。管理会計には特段ルールはなく、企業ごとに独自のルールで行っています。

このように、会計とはさまざまな目的に応じて、ビジネス上で発生したお金のやり取り全般を計算・管理するためのものです。

ファイナンスとは?

一方、ファイナンスとは企業がどのように資金を調達し、どのように運用していくべきかを考える経営学の一分野であり、いわば組織において「資金繰り」を計画・運用する人や部署のことを指します。

会計とファイナンスの違いは、会計士とファイナンシャルプランナーほどの違いがあると考えてみてください。会計士は企業や個人事業主に依頼されて、ビジネス上のお金のやり取り等を計算したり、決算報告書の作成を支援したり、税務申告書類等を作成します。それに対してファイナンシャルプランナーの役割は「資金・資産運用」です。企業が持つ資金や資産を、どう運用することがビジネスにとって正しいのか?将来発生する支出などを踏まえて、資金と資産の運用を担います。

企業におけるファイナンスで特に重要なのが、投資に関する意思決定です。ビジネスでは投資がなければ一切の利益を得ることはできません。従って、企業の経営活動は投資の連続であり、ファイナンスは投資に置ける意思決定を正しく行うためのコンサルタントであり、ツールなのです。

ファイナンスの重要な役割

1.その対象に投資すべきか?(投資の意思決定)

経営者が投資を考えている事業や企業が、投資するだけの価値があるかどうかの意思決定を下す。

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2.投資に必要な資金はどうするか?(資金調達の意思決定)

金融機関から融資を受けるのか、株式や社債を発行するのか、どの資金調達方法が最もビジネス価値を高めるかの意思決定を下す。

3.株主への利益分配はどうするか?(分配の意思決定)

投資によって得られた利益を株主に配当するのか、あるいは再投資に用いるかの意思決定を下す。

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ファイナンスはなぜ必要?

皆さんは「黒字倒産」がなぜ起こるのか、その仕組みをご存知でしょうか?それを知っていれば、企業にとってファイナンスが如何に重要なものかどうかを瞬時に理解することができます。

黒字倒産の一例

製造業を営むA社はあるとき、B社という新規顧客と取引をすることになりました。ちなみにA社は長年パートナーシップのある顧客企業との取引が中心なので、新規顧客と取引をするのは実に数年ぶりです。その間、経営者の継承がされているので、新しい経営者が新規顧客と取引をするのは初めて、ということになります。

この経営者は会社を大きくしたいという野心はあるものの、少々楽観的な面もあります。なので、B社と取引を開始する際も、大した与信調査は行わず、会社を大きくするためにはまず取引数を増やす必要がある、という考えから瞬時に取引を決めました。

企業同士のビジネスや与信取引が基本であり、A社とB社の間でも、商品代金は翌々月末支払いということで協議が落ち着いています。A社はこんな具合に、他にもC社やD社といった新規顧客との取引もスタートしました。

これで会社は順調に大きくなるはず、と考えたのも束の間、商品代金の支払い期日になってもB社とC社からの入金が確認できません。疑問に思った経営者がB社とC社に連絡を取ってみると「ちょっと支払いが滞っているから数日待って欲しい」を言われ、支払期日を伸ばしたものの、次の期日にも入金が確認できません。

おかしいと思ったA社経営者が直接訪問すると、B社もC社も顧客からの支払いが遅れており、代金を支払えるキャッシュが手元に無いとのこと。しかし、A社も急に取引数を増やしたため、売掛金回収ができないと部品調達にかかった費用を支払えない状態です。

A社ではこうした状態が長期的に続いたことで、帳簿上では売上が立っていてしっかりと黒字になっているにも関わらず、最終的には倒産してしまいました。これが黒字倒産の仕組みです。

ファイナンスがしっかりしていれば…

A社のような企業は決して少なくはありません。東京商工リサーチの情報によれば、2017年に倒産した企業のうち、ほぼ半数(46.3%)が黒字倒産だったそうです。この情報から、黒字倒産は対岸の火事ではありません。では、A社はどうすれば黒字倒産を免れたのでしょうか?

参考:2017年「倒産企業の財務データ分析」調査

「会社を大きくしたい」という野心に問題はもちろんありません。問題なのは、ファイナンスを徹底していなかったことです。新規顧客と新しい取引をスタートすれば、その分原材料や部品の仕入れが多くなるということです。そのため、取引によって将来的にお金は入ってきますが、出ていくお金もあります。このことをしっかりと理解していないと、事業拡大を狙っても大きな痛手に遭うだけです。

ファイナンスでは、新規顧客との取引によって将来的にどういった支払いが発生するのか?その支払いに使う資金はどこから調達するのか?その調達方法は妥当か?新規顧客が期日通りに支払いをする信用はあるか?など、資金の流れに関する将来的な情報を徹底して管理します。

そのため、A社ではファイナンスがしっかりとしていれば、信用の低い新規顧客と取引をすることは無かったでしょうし、もっと計画的に事業拡大を狙い、着実に会社を大きくしていけたはずです。

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ファイナンスの見直しを!

もしも、これまでファイナンスを実施したことはなかったというのであれば、この機会にファイナンスについて見つめ直していただきたいと思います。今までは大丈夫でも、これから問題が起きない保証はありません。しかしファイアンスを徹底していれば、資金繰りに関して問題が発生することはないですし、リスクマネジメントを実行して健全な経営を続けることができます。

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