なぜ、会計ソフト導入は失敗するのか?9つの原因から対策を知る

 2016.06.15  クラウドERP編集部

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個人、法人、パッケージ型、クラウド型など合わせれば現在リリースされている会計ソフトは数十種類にも上り、数年前と比較すると選択肢の数は倍近くになっています。

特にクラウド型を筆頭にして中小企業や個人事業主での導入が進み、2014年12月では4.8%だったクラウド会計ソフト普及率が半年後の2015年5月には10.0%と倍増しています。
おそらく、今後もクラウド会計ソフト導入の波は止まらないでしょう。

そんな中「選択肢はあればあるほどいい」と考えがちですが、反面選定の難しさが際立つというデメリットもあるのです。
実際、最近になって会計ソフト導入で失敗したという企業が増加傾向にあります。

そして企業により理由は違えど、失敗してしまう原因はある程度決まっています。
今回は、会計ソフト導入で失敗する9つの原因をまとめてみました。

「なんとなく」で導入してしまった

freeeやMFクラウド会計といった製品を中心に活発化しているクラウド会計ソフト市場ですが、成長著しいが故に起きたしまう失敗があります。
それは、周囲の「クラウド会計ソフトいいよ~」という声につい流され「なんとなく」で導入してしまうことです。

つまり目的を持たずに導入してしまったことで、投資対効果を得ることができなかったという失敗です。

会計ソフトは本来、現状の経理の課題を解決するためにあります。
課題と目的があるからこそ導入効果を発揮するものなので、目的なき導入は往々にして失敗してしまうのです。

周囲の声で「会計ソフトいいかも」と思っても、冷静に現状の環境を見渡してみましょう。
会計ソフトがなくても経理が十分に機能していれば、既存システムで問題なく業務が回っているというケースが多々あります。

"多機能"で選んでしまった

会計ソフトは製品によって機能が様々であり、それぞれに異なった特徴を持っています。
本来ならば現状の課題と目的を明確にした上で機能要件を定義し、それにマッチした製品を選ぶのがセオリーです。

しかし、中には「とにかく多機能な製品がいい!」と機能要件を定義せずに導入してしまうケースが珍しくありません。
会計ソフトに限った話ではありませんが、業務システムにおいて全ての機能をフルに使用することはむしろ稀です。

ですので、単に多機能で製品を選んでしまうと大半が使用しない機能となってしまい、無駄なコストを発生させるばかりかシステムが煩雑化して"使いづらい会計ソフト”となってしまいます。

また、機能要件を定義した上でも「あれもできる、これもできる」という部分に魅力を感じて導入するケースがありますが、同様に失敗する可能性が高いので注意しましょう。

"低価格"で選んでしまった

「コストを抑えるためできる限り低価格な製品を!」と価格を重視し過ぎる場合も、導入失敗の原因となります。
会計ソフト導入においてベストなのは、自社要件にマッチしコンパクトにまとまった製品を導入することです。
低価格だからと言って最適な製品とは限りませんね。

ただし経理上、価格をまったく無視した製品導入を行うわけにはいかないので、表面上の料金ではなく費用対効果を算出した上で比較するといいでしょう。

この製品のメリットは?
どれくらい課題解決に繋がるか?
業務効率化になるか?

などなど、導入後の効果を予測することで表面上の料金ではなく会計ソフト本来の価値で比較をすることができます。

税務申告ソフトの選び方
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他システムとの連携が取れていなかった

会計ソフトはそれ単体だけでも効率化を図ることができますが、他システムと連携することでより力を発揮するシステムです。

例えば販売管理ソフトPOSデータといったシステムと連携を取ると、一連の経理業務をお幅に効率化することができます。
むしろ、業種によっては連携が取れなければ会計ソフトとして機能しないといったケースもあり得ます。
既存システムとの親和性が非常に重要なのですが、これを考慮せずに導入してしまい失敗したという企業が多いのです。

こういった背景から、最近ではクラウドERPの導入が進んでいることをご存知でしょうか?
ERPとは「統合基幹業務システム」と呼ばれ、会計管理を始め販売管理や在庫管理など企業に必要なシステムを一気通関で提供するソリューションです。
そして、これをクラウドで提供するのがクラウドERPとなります。

クラウドERPでは多数システムをオールインワンで備えているので、100%の親和性があり快適なシステム環境を提供しています。

顧問税理士とシステム連携が取れていない

顧問税理士がいる企業では、自社の会計ソフトと税理士が使用している会計ソフトで連携が取れていないとスムーズなやり取りができません。
社内で利用する分に満足していても、顧問税理士とのやり取りがスムーズに進まないと業務に遅延が発生するケースもあるのです。

経営者目線で製品を選んでしまった

経営者自身が経理業務を行う個人事業主やスタートアップならば問題ありませんが、中小企業において会計ソフトを使用するのは経理担当の社員です。
従って、製品検討にユーザーの視点を入れるならば経理担当の意見を反映させるのが最もベストなのは明白でしょう。

しかし会計ソフト導入に失敗してしまう多くの企業では経営者目線で製品検討をしてしまい、結果エンドユーザーである経理担当にとって使いづらいシステムを導入してしまっています。

経営者目線で製品を選ぶと、どうしても"使いやすさ”よりも"情報の可視性”や"情報量”を重視してしまいがちです。
自分自身で利用するのならばそれでもいいのでしょうが、経理担当にとって使いづらいシステムだと結局のところ業務負担が増え、結果的に企業にとってマイナスとなってしまいます。

ですので会計ソフト導入はユーザー第一で考え、経理担当の意見を反映させることがかなり重要です。

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将来的なバージョンアップを考慮していなかった

税理士・会計事務所をメインターゲットとしている会計ソフトによくあるのが、導入後バージョンアップされるのではなく突然別の製品をリリースするといったケースです。

この場合、しばらくは問題ありませんが消費税率など税制改訂の際に旧製品では対応できなくなってしまうことが珍しくありません。

クラウド型ならば比較的簡単にリプレースできるのでしょうが、パッケージ型だと新製品を購入しなくてはならないので無駄なコストが発生してしまいます。

ですので、会計ソフトを選ぶ際は必ず将来的なバージョンアップ対応をヒアリングすることが重要です。
新製品をリリースしても旧製品のバージョンアップ対応をしてくれるベンダーや、クラウド型を選ぶと少ないリスクで導入できます。

予想していたコストを大幅に上回った

これは価格を重視し過ぎてしまったケースでよくあるのですが、低価格な製品には必ず何かしらの理由があります。
中には最低限の機能だけを搭載し、その他の機能に関してオプション機能で提供するといった製品が多いのです。

しかし低価格を重視するあまり、この点を見逃してしまうと導入後になってあれもこれも必要と初めて気が付きます。
そこでオプション機能を追加したり外部アプリケーションを導入して連携させると、当初予想していたコストを大幅に上回ってしまうのです。

こういった失敗事例は以外にも多いので、製品検討の際は機能面も含め総合的に判断するよう意識してください。

操作性を意識していなかった

近年リリースされている会計ソフトは機能面で横並びになっている製品が多く、最終的な決め手として価格やサポートなどを重視している傾向にあります。
しかしここで注意すべきは会計ソフトの操作性です。

例えばクラウド会計ソフトのfreeeとMFクラウド会計ですが、機能面で言えばほとんど変わらないと言っていいでしょう。
しかし操作性にそれぞれ特徴があります。

freeeでは腹式簿記経験がない方向けの製品なので操作性に自由度がありません。
取引明細の自動取り込みや自動仕分けなど、徹底的にユーザーの効率化を考えた製品です。
ですので、手入力で記帳しようとすると逆に非効率的な作業となってしまいます。

一方MFクラウド会計では、自動取り込みや自動仕分けといった機能を基本的に提供する他、手入力機能も実装しています。
この点から従来の会計ソフトを使い慣れ方は、MFクラウド会計の方が使いやすいという方が多いでしょう。

このように、会計ソフトの機能が横並びであったとしても、製品により操作性が異なります。
操作性を確認するためにはしっかりと無料トライアルやデモを利用し、現場の経理担当に触れさせてみることですね。

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まとめ

いかがでしょうか?今回紹介した9つの失敗原因が、会計ソフト導入で失敗する主な原因となります。
「じゃあ、具体的にどうやって導入を進めていけばいいの?」と思われた方も多いでしょう。

まずは、現状の課題を全て洗い出し会計ソフト導入の目的を明確にすること。できる限り目的は単一のものに絞った方がハッキリとします。
目的を達成するために必要な機能要件を定義し、これにマッチした製品をいくつかピックアップしましょう。
この点でパッケージ型かクラウド型かの判断もしておきたいところです。
そして、ピックアップした製品の無料トライアルはデモで実際に触れてみて、最終的に価格を比較し導入に至ります。

細かく言えばさらに多くのポイントがありますが、大まかな流れはこんな感じです。
あとは今回の失敗原因を参考にして頂ければ、どの点に注意していけばいいのかが自然とわかると思います。

「なんとなく」で導入するのはもちろん厳禁であり、目的を明確にしていたとしても「導入は簡単じゃない」ということを忘れてはいけません。
検討期間に十分余裕を持ち、慎重に導入を進めていくことが大切です。

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