調達を効率化するシステム化とそのポイント

 2018.05.22 

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会社にとって調達は、製造原価を低減したりスムーズな資材供給を行ったりと非常に重要な役割を担っています。しかし調達自体がマニュアルな業務だらけで非効率なままだと、せっかくの利点を失ってしまうこともあるでしょう。

そこで今回は調達を効率良くするためのシステム化についてお話します。調達にとって必要なシステムとは?導入のポイントも併せてご紹介します。

調達の課題

早急に解決すべき調達の課題とは何か?システム化のポイントを理解するために、まずはここから紐解いていきましょう。

課題①若手バイヤーが育たない

多くの調達が抱えやすい課題と言えば「若手バイヤーの育成」です。若手が育たないから中堅バイヤーが出るしかないという状況が多く、その結果中長期的な生産性が低下します。この原因の多くは若手育成が体系立てられていないことです。ただし、育成する立場にある人にも問題があることも。

中堅バイヤーから「若手バイヤーが育たないから、最終的な価格交渉や契約締結は自分が出るしかない」という声をよく聞きます。しかしそう話す多くの人は、本当に問題を感じているというよりは、自分の存在価値を確認しているのかもしれません。「自分にしかできない仕事」に少なからず意義を見出してしまうと、若手育成に積極的ではなくなってしまうでしょう。

その結果、若手バイヤーが育つことはなく調達の仕事はどんどん属人化してゆき、組織としての効率性は落ちてゆくとともにリスクにもなります。

課題②間接資材の発注部門が多く手間がかかる

生産や業務に直接関係はないものの欠かせないのが間接資材です。オフィスで使用するメモ用紙やコピー用紙、生産で使用する工具や制服など間接資材が無ければ業務が円滑に進みません。この間接資材は特定の時期に会社全体から発注が集まり、調達はそれを処理して資材を注文します。一見簡単そうに見える業務も、各部門が異なるフォーマットで発注をかけるため非常に手間がかかります。

ある部署は発注内容を電話で伝え、ある部署はメール本文に直接記入します。またある部署はExcelドキュメントで発注内容をまとめたりするのでこの集計作業だけでもかなりの工数がかかってしまうのです。

課題③サプライヤーに直接発注されてしまう

設計や製造といった資材を常に必要としている部署では、調達を通さずサプライヤーに直接発注をかけてしまう場合があります。もちろんこれは会社にとって適切な姿では無いので、購買価格が定まらなかったりサプライヤー管理が複雑になったりと様々な問題を生んでしまいます。

課題④サプライヤーが多く発注の手間が多い

原価低減の目的で資材ごとに最適なサプライヤーを選定したはいいものの、今度はサプライヤーが多過ぎて発注に手間がかかり生産性が低下しているという本末転倒な状況も少なくありません。しかしサプライヤーを特定の会社に絞るとリスクとの兼ね合いも出てくるため、手付かずになっていることも多いでしょう。

課題⑤調達の評価指標が定められていない

営業なら売上実績、企画開発なら開発した商品の売上など個人を評価するための指標が明確に存在します。それに対し、調達では個人を評価するための指標が無い場合が多く、その結果従業員のモチベーションが低下します。

以上が調達業務に見られる一般的な課題です。こうした課題は、システム化によってどう解決されていくのでしょうか?

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調達をシステム化することのメリット

では、調達はシステム化することでどういったメリットを享受し、どのように課題が解決されるのでしょうか。

メリット①ノウハウが蓄積し教育を体系立てられる

調達がシステムを利用すると価格交渉や交渉内容などはシステムに記録されていきます。これはつまり、どういったプロセスを踏んで業務を遂行することが最も効率的なのかを、データを通じて確認できるということです。ベストプラクティスとも言えるその情報を取りまとめて教育に取り入れれば、体系立てた教育によって若手バイヤーを育てていけます。

メリット②情報共有力が高まる

サプライヤーとの価格交渉や契約交渉などをシステムで記録すれば、上司や中堅バイヤーは適切なタイミングで若手バイヤーのサポートの入ることができます。任せる部分は任せて、サポートが必要な際は適宜指示を出すという体制にすることで、より若手バイヤーが育つ環境を整えられるでしょう。

メリット③同一フォーマットでの発注を受けられる

調達で導入するシステムが各部署のシステムと連携されていれば、それを通じて間接資材の発注をかけることも可能です。そうすれば発注すべき資材の集計をシステムが自動で行ってくれるので、今まで生じていた手間を大幅に削減できます。

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メリット④調達への発注が楽になる

直接資材に関してもシステムを通すことで調達への発注が楽になります。そのため現場部門がサプライヤーに直接発注をかけることも少なくなり、購買価格の安定を期待することができます。

メリット⑤単一インターフェースでの発注

数多いサプライヤーもシステムで管理することで、単一インターフェースから各サプライヤーへ発注をかけることが可能です。サプライヤーと協同してEDI(電子データ交換システム)を導入すれば、発注業務や納期管理をシステムで完結できます。

メリット⑥評価指標が定まる

調達をシステム化することで、誰がいつどのような業務を行い、何に貢献したかが明確になります。そのため評価指標作りの一環としてデータ収集ができ、調達人材の評価が正しく行えます。これによって調達のモチベーションも上がります。

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調達システム化のポイント

調達のシステム化によって様々なメリットを享受できることが分かりました。では、調達をシステム化する上で大切なポイントとは何でしょうか?

ポイント①各部署とつながるデータベース

調達に強く求められる機能の一つが他部署との円滑なコミュニケーションです。調達は他部署との調整を行うことが多くあるため、システムによってこのコミュニケーションを支援することが重要になります。

そこで、調達のシステムと各部署のシステムが一元化されたデータベースによって管理されていれば、情報共有が促進してコミュニケーションが円滑に運びます。こうした環境を構築するためには既存システムの連携を図るか、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)でのシステム刷新が必要です。

また、部門や事業所ごとに同じものでも異なる調達をすることで、調達コストにばらつきが出ます。これを一元化することで調達量が増えて価格交渉力が増すとともに、全体の無駄の削減にもつながります。

ポイント②価格交渉と過去の購買価格と紐づける

サプライヤーと価格交渉を行う上で過去の購買価格を参考にすることは大切です。なので、ユーザーが過去の購買価格をすぐに確認できるよう、サプライヤーごとの履歴情報を紐づけることが前提になります。

ポイント③サプライヤー管理とリスクマネジメント

商品の製造原価は調達がどんな仕入れをするかによって変動します。たとえば仕入れ値が上昇したにも関わらずサプライヤーの変更を検討しないままでいると、製造原価が上昇し利益が低下します。そこで、サプライヤーごとの生産能力や経営状況を把握し、リスクマネジメントの一環として別プランを計画しておくための機能が必要です。

これらのポイントを踏まえて、調達を最適化するためにERPの導入をおすすめします。ERPは各部署の業務システムが予め統合されており、単一データベースで管理されているので情報共有が非常にスムーズです。さらに調達モジュールではサプライヤーと協力して共有可能な発注画面を作成することも可能なので、調達業務が大幅に効率化します。

経営を変えるために調達を効率化したいという場合は、ERP導入をぜひご検討ください。

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