ERP導入で失敗する13の原因 まずは知ることから始めましょう~

 2016.06.28  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

周囲の企業でERP(Enterprise Resource Planning)導入に失敗したという事例を耳にすることがあります。
事実、ERPの導入は決して簡単ではなく、多くの企業が様々な原因で失敗しているシステムです。
このことから導入したくてもなかなか踏み込めない企業が多いのではないでしょうか。

しかし、理解して頂きたいのは新たなシステム導入で失敗原因を作っているのは“人や企業(ユーザー企業はもちろんベンダー・パートナーも含め)”に他なりません。
「システム自体が悪い」ということはいつの時代もあり得ないのです。
もしもシステムとのミスマッチで失敗したのであれば、それは“製品選定が不十分だった“という理由でしかありません。

ただここまで理解していたとしても、「導入失敗が怖い…」というのが心情でしょう。
そこで今回は、ERP導入で失敗する原因をまとめてみました。
全部で13の原因があるので、網羅的に把握することで自然と取るべき対策が見えてくると思います。

それでは、いってみましょう。

1.ERPを導入するだけで業務改善を行わない

ERPは販売管理システムや顧客管理システム(CMS)などを単体で導入するのとは違い、企業経営に必要な基幹系システムを一挙に導入することになります。
これは既存業務を一気に変えてしまう破壊力を持っているという意味でもあるのです。

しかし導入失敗に陥る多くの企業では、ERPに合わせた業務改善を行う体制が整っていません。
その結果データの二重管理が発生したり、効率化どころか逆に煩雑化してしまうケースが少なくないのです。

ERP導入では「これまでの業務が一新するのだ」くらいの気概がなければ、変化に対応できず失敗に終わります。

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2.導入後、結局どう活用していいかわからない

「社内に散在するデータを一元的に管理し、経営戦略の策定と意思決定を迅速化します!」
ERPについて調べているとこんなフレーズを目にすることがありますが、これはあくまでERPを導入することで得られるメリットであり、必ずしも導入目的とはなりません。

しかしこういったメリットばかりに目を向けてしまい「そもそも何のためにERPを導入するのか?」が見えなくなってしまっていることがあります。

この場合、導入してから「あれ?ERP導入したけど、どう活用したらいいの?」とせっかくの導入も水の泡になっていまします。
まずは自社が持つ現状課題をしっかりと洗い出し、ERP導入の目的を明確に持つことが重要です。

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3.不適切なプロジェクトリーダーを選出

ERP導入プロジェクトに際し、プロジェクトリーダーを選出するのがほとんどかと思います。(あるいは担当者)
プロジェクトリーダーとして組織の上長が選ばれるケースが多いですが、果たして適切な人選でしょうか?

極端な話、WBC(ワールドベースボールクラシック)で日本を世界一に導いた原監督が、サッカー日本代表を率いてワールドカップで優勝できるか?という話です。

プロジェクトリーダーに適任なのは必ずしも組織の上長とは限りません。
一般社員の中からもITスキルなどを考慮し、適材適所でリーダーを選出する必要があります。

4.導入段階から現場社員を巻き込んでいない

ERPはしばしば経営者向けのシステムとされていますが、結局のところへービーユーザーとなるのは現場社員です。
日々データを打ち込むのも修正などを行うのも経営者ではありません。

にも関わらず、経営層や情報システムのみで導入プロジェクトを進めてしまい、現場社員の声を反映していないがために業務負担が増加してしまうケースが後を絶たないのです。

また、現場社員にとっても導入段階から巻き込まなければERPスキルを磨いていくことができません。
言うなればRPGゲームで「はじまりの町」からいきなり「魔王の城」の前に連れて行かれるようなものです。
攻略できるはずもなく、辺りをうろうろしているモンスターに一蹴されるのが落ちでしょう。

ERP導入プロジェクトにはしっかりと現場を巻き込み、現場目線でシステム選定基準を作ることも大切です。

5.ROI評価を行っていない

表面上のコストに囚われ、ROI(投資利益率)をまったく考慮していないケースでは往々にして失敗します。

なぜか?ERP導入の目的は「現状課題を極力解消できるソリューションを導入すること」であり「できるだけ低コストなソリューションを導入すること」ではないからです。
だからこそROIをしっかりと評価し、導入後の効果を予測することが大切です。

100のコストで100の利益率を得るのか、150のコストで200の利益率を得るのかどちらがベストかは明白でしょう。

6.導入後のシステム運用を考えていない

オンプレミス(自社サーバ設置型)でERPを導入する場合、導入はゴールではなくあくまでスタートです。
つまり導入段階から運用をしっかりと考慮しなければなりません。

OSバージョンアップ、システムバージョンアップ、バックアップ、冗長化、ミラーリングなどなど、運用後も対応しなければならないことは山積みです。

こういった運用が負担だというのであれば、インターネット環境とPCのみで導入出来るクラウドERPが最適でしょう。
導入スピードも迅速なのでコスト削減に繋がるケースも多々存在します。

7.予算に余裕がないままプロジェクトが進行している

自社要件に完全にマッチしたERPを導入するとなると、開発費が重なり導入だけで数百万~数千万円にのぼるケースはざらです。
場合によっては億単位の導入コストがかかる企業も存在します。

ですので、十分な予算を確保していおかなければ導入後に「あれもこれも足りない!」といった状況に陥ります。
この失敗を打破するために有効的なのが、先に登場したクラウドERPです。

オンプレミスと比較すれば導入コストは破格であり、ランニングコストも削減できるケースが珍しくありません。
また、ERPとしての機能も申し分なく独自のアプリケーションを開発できる製品もリリースされています。

8.業務課題とシステム課題を整理していない

現場には主に2タイプの課題が存在しています。それは“業務課題”と“システム課題”です。

業務課題は主にワークフローが整備されていないことで起こるタイムロスなど、日々の業務中に発生する課題です。
一方システム課題とは、販売管理システムと在庫管理システムの統合がされていないなど、システム自体が抱える課題です。

ERP導入で解消できる課題は主にシステム課題と業務課題の一部です。
「ERPを導入すれば全ての課題が解決される!」わけではないので、業務課題とシステム課題に分けて現状課題を洗い出しましょう。

その上で「ERP導入でカバーできる範囲はどこまでか?」を考え、ERPで解消できない課題は業務改善によって解消しなければなりません。

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9.ベンダーorパートナーに導入を丸投げ

ERP導入に際し、ベンダーやパートナーと契約を行い導入するケースがほとんどですが、失敗する企業の多くはプロジェクトを丸投げしています。
「餅は餅屋」という考えからなのか「面倒だから」という思いからなのかはわかりませんが、自主性を持ってプロジェクトを推進しなければ必ず失敗すると言っていいでしょう。

ベンダーやパートナーはERP導入のプロであっても、ユーザー企業の社員ではありません。
ユーザー企業の事業内容や業務プロセスをしっかりと理解した社員がいなければ、最適な導入は不可能なのです。

10.コミュニケーション基盤ができていない

ERPにより社内の基幹系システムが統合され、経営者でなくとも他部署のシステムデータを閲覧できる環境が整備されます。
しかし、だからといってコミュニケーションが活発になるわけではありません。

どんなに社内データを可視化できたとしても、結局のところ部署間のコミュニケーションが円滑にならなければせっかくのERPを活かすことができないのです。
ポーカーのチーム選で互いの手札は見えているのに、コミュニケーションが取れていないが故に敗戦してしまうようなものです。

ERP導入に合わせ、コミュニケーション基盤の整備も検討しましょう。

11.導入スケジュールがかなりタイト

多くの基幹系システムを内包しているERPだからこそ、導入期間が長期化するのは仕方のないことです。
しかしながら導入スケジュールがかなりタイトだと満足のいく導入効果を得られない可能性があります。

どうしてもタイトなスケジュールでの導入が必要な場合は、ベンダーの「短期間導入プロジェクト」などを活用しましょう。

12.製品のミスマッチでリプレースするはめに

ERP製品の選定は成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。
適切な選定ポイントを理解し、しっかりと自社にマッチした製品を導入しなければ失敗に終わるでしょう。

こちらではERP選定において重要なポイントをまとめているので参考にしてください。

13.他システムとの親和性を考慮していない

基幹系システムを包括的に提供するERPでも、既存システムと連携しなけらばならない可能性もあります。

例えばグループウェアとの連携を取ることでコミュニケーション基盤も統合したい場合などです。
導入してから「連携取れないじゃん!」では遅いので、予め他システムとの親和性を確認しておきましょう。

まとめ

いかがでしょうか?ERP導入で失敗する企業は、大方いずれかの(あるいは複数の)原因によって失敗しています。
つまり、全ての失敗をきちんと把握して対策を取れば、ERP導入で失敗することはそうそうないと言う事です。

まずはこれらの失敗原因を前に「自社ではどんな対策を取れるだろう?」と考えてみてください。
そうすれば自然と導入成功へのガイドラインが見えてくるでしょう。

本稿によって少しでも多くの企業がERP導入に成功出来れば幸いです。

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