制度会計はもはやトライアングルだけではない!財務担当者のための新しい制度会計について

 2019.11.20  クラウドERP編集部

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制度会計とは、法律で定められた方法によって実施される会計のことです。主に財務会計と税務会計に分類されます。前者は、会社の経営にかかわっている株主や投資家、あるいは金融機関に対して会社の経営状況を報告するためのものです。

株式会社の場合、お金を出資する人と会社を経営する人は別々に存在しており、所有と経営が分類しています。これは人材を雇用する会社と、雇用される従業員に似た関係にあります。従業員は会社から任された仕事に対して、その進捗や結果を報告する責務がありますが、株主や会社もこれと同じ関係なので会社は経営状況の報告義務があります。一方、税務会計は税金の申告を目的とした会計であり、細かい説明は割愛します。

日本は昔、トライアングル体制といって①証券取引法会計、②商法会計、③税法会計の3種類から制度会計が成り立っていましたが、現在では証券取引法は金融商品取引法、商法は会社法に名称を変更し、さらに中小企業向け会計基準や国際会計基準、米国会計基準などもかかわっています。

本稿では、財務担当者として知っていただきたい制度会計について解説しますので、入門編として参考にしていただければ幸いです。

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制度会計は大まかに分けて6種類ある

日本企業の精度会計にかかわる法律や規定や、大きく分類して6種類があります。まずは、それぞれの特徴を知っていきましょう。

1.金融商品取引法

有価証券の発行や売買などの金融取引を公正なものとして、投資家の保護や経済の円滑化を図るために定められた法律のことです。金融市場の国際化への対応を目指し、2006年に従来の証券取引法が一部改正され、金融商取引法として成立しています。主な柱として、投資性の強い金融商品に対する投資家保護法制の構築、開示制度の拡充、取引所の自主規制機能の強化、インサイダー取引など不公平取引への厳正な対応などが定められています。

金融商取引法は上場企業および大企業に適用される会計ルールの元締めになる法律です。ちなみに、上場企業と大企業の定義は以下のようになります。

●上場企業(金融商品取引法193条の2第1項)

グローバル企業への変革に向けた経営とIT改革
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東京証券取引所などの金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社

●大企業(会社法2条6号)

資本金5億円以上、または負債総額が200億円以上の会社

2.会社法

会社の設立から解散、組織運営や資金調達など、会社に関するあらゆるルールをまとめた法律を指します。現在では1年以上の資本金で会社を設立することが可能ですが、2005年の会社法改正までは株式会社の場合で最低1,000万円、有限会社の場合で最低300万円の資本金を必要としていました。

会社法が施行される以前は「商法第2編」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」「有限会社方」の3つに法律が分散されていましたが、該当するいずれかの項目に従いながら、それぞれの法令に適応しなければいけないなど複雑化していたため、これらを分かりやすく一本化し、改めて再編成したのが会社法となります。

会社法は株式会社を含むすべての法人と、個人事業主に適用される基本法となっています。

3.法人税法

法人の所得にかかる税金である法人税について、さまざまな取り決めを定めた法律を指します。要するに、法人税を納付するにあたり最低限知っておくべき情報が網羅されているものです。主に、「各事業年度の所得に対する法人税」「各連結事業年度の所得に対する法人税」「退職年金等積立金に対する法人税」の3つに分類されており、株式会社を含むすべての法人と、個人事業主に適用される基本法となっています。

4.中小企業会計

中小企業の会計基準は会社法を元締めにしているところが大きいですが、「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」と「中小企業の会計に関する基本要領(中小要領)」という2つの会計基準があります。

中小指針は、中小企業が決算書を作成する上で、採用するのが望ましい会計処理や注記などを規定しているものです。たとえば、金銭債権の表示はしっかりと区分されているか、固定資産は適切に減価償却されているかなどが記載されています。中小指針は日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会議基準委員会の4団体が作成し、定期的に見直されています。

中小要領とは、中小企業の実態に合わせて作ら得た新しい会計基準のことです。中小企業関係者などが主体になり、金融庁と中小企業庁が事務局になって作られたものであり、「経理担当者がいない(少ない)」「決算作業の負担が大きい」「決算書の提出先が金融機関、税務署、取引先、同族の株主などに限られている」「会計処理が法人税法で定められた基準で行われている」といった小規模な中小企業を想定しています。そのため、中小指針よりも簡便な会計処理を採用しているのが特徴です。

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5.IFRS(国際会計基準)

IFRSは「International Financial Reporting Standards」の略であり、国際会計基準と訳されます。英国ロンドンを拠点とする民間団体であり国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Board)が設定する会計基準であり、世界共通の会計基準づくりを目指しています。

2005年にはEU域内において、上場企業に適用義務化され、現在では110以上の国と地域で採用されています。日本では2015年に上場企業でのIFRS適用を強制化する予定でしたが、震災の影響や米国の対応遅れなどから強制適用の話は無くなり、現在では普及活動に努めています。

IFRSでは「原則主義」「賃借対照表重視」「グローバル基準」という3つの特徴から、現代企業にとって欠かせない会計基準として注目されています。

6.US-GAAP(米国会計基準)

文字通り、米国で採用されている会計基準であり「Generally Accepted Accounting Principles」の略です。現在、IFRSとのコンバージェス(収束)が進行しており、その際は2~3割程度だと言われています。米国上場企業はUS-GAAPに準拠することが義務付けられていますが、非上場企業でも適用するケースがあります。

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各会計基準に対応しよう!

日本では金融商取引法、会社法、法人税法で定められた会計基準に従うのが義務ですが、企業によっては複数の会計基準に対応するケースがあります。たとえばIFRSに対応して制度会計を行うことで、世界的に標準化された会計基準を使い、世界の投資家に自社の経営状況をアピールすることができます。そうすれば、より多くの投資を募ったりすることができるため有効的な方法です。各会計基準に対応する場合、自力では難しい部分も多いので会計ツールなどを使用して、各国の会計基準に対応できるよう準備しておきましょう。

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