ダイナミック・ケイパビリティとは?現代に求められる変化対応力

 2020.10.09  クラウドERP編集部

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ダイナミック・ケイパビリティは、企業が市場変化や顧客のニーズに合わせて変革していく上でとても重要な概念です。現在、顧客のニーズや世の中のトレンドは目まぐるしく変化し、どのジャンルにおいても多様化が進んでいます。

企業を経営する上では、現状維持ばかりでは淘汰される一方です。今後、企業は急速に変化する市場や顧客のニーズをいち早く捉え、変化していくことが求められます。

今回は、経営戦略の1つであるダイナミック・ケイパビリティについて解説します。

ダイナミック・ケイパビリティとは?現代に求められる変化力

ダイナミック・ケイパビリティとは

最初に、ダイナミック・ケイパビリティの概念を説明します。

ダイナミック・ケイパビリティとは、カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・ティース氏が提唱する経営概念です。急速に変化するビジネス環境をいち早く認識し、環境に合わせて企業が保有する経営資源を素早く再構築・再編成する経営能力を指します。このような戦略的な経営によって、持続的な優位性を築くことができると考えられています。

ダイナミック・ケイパビリティは、経営戦略論や国際経営論、組織経済学をベースにして生まれた概念ですが、曖昧な部分が多く、明確な定義はありません。

しかし、従来の経営論を刷新する新しい経営論として世界の研究者から注目を浴びている分野であり、今後さらなる成長が期待できます。

ポーターの競争戦略論

ダイナミック・ケイパビリティは、「ポーターの競争戦略論」をもとにして生まれた概念と言われています。

そもそも経営戦略論の原点はマイケルE.ポーター氏の「競争戦略論」にあると言われており、その中で「顧客が抱く製品やブランドへのイメージを、競合他社のものと比較し、相対的に高めることが重要である」と説いています。これは、差別化戦略とも言えます。

顧客が抱くイメージという外部要因が企業の戦略行動を左右するというポーター氏の考えは、「ポジショニング派」と呼ばれていました。

しかし、同じ環境下にある企業が異なる戦略行動を取り、成功を収めたという事例から、ポーターの競争戦略論とは別に、「RBV(リソース・ベースト・ビュー)」という考え方が新たに登場しました。これはバーガー・ワーナーフェルト氏が提唱する概念で、ワーナーフェルト氏は「企業が有する人材や生産設備、特許といった、企業独自の内部資源が競争優位性を高める」と説いています。この考え方は、のちに「ケイパビリティ派」と呼ばれることになります。

しかし、ケイパビリティ派の概念は短期的な競争優位性はあるものの、長期的に見ると資源や能力が硬直化してしまうおそれがあると考えられるようになりました。

ポーター氏が説く“外的要因の変化を認識した戦略”と、ワーナーフェルト氏が説く“資源ベースの戦略”を掛け合わせた経営戦略として生まれたのが、ダイナミック・ケイパビリティです。

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ダイナミック・ケイパビリティで重要な3つの要素

ダイナミック・ケイパビリティには曖昧な部分が多く見られますが、この概念には3つの要素があります。ダイナミック・ケイパビリティにおいて重要な3つの要素を解説します。

感知(Sensing)

1つ目は感知です。感知とは、顧客のニーズや競合他社の動向を観察・分析し、環境の変化をいち早く感じ取る能力です。

ポーターの競争戦略論にあるように、外的要因の変化を意識した戦略を立てる上で、感知できる能力は非常に重要な要素です。

捕捉(Seizing)

2つ目は捕捉です。捕捉とは、企業が保有する資源や知識を応用し、再利用する能力のことです。既存のもの活用するにあたっては、柔軟な思考や対応が求められます。捕捉を行うためには、外的要因の変化を感知する能力が不可欠であるため、こちらもポーターの競争戦略論に強く結びつく要素と言えます。

変革(Transforming)

3つ目は変革です。変革とは、組織内外の既存資源を結合・再配置したり、体系を見直したりして、実際に再構築・再編成してマネジメントを行う能力のことです。市場の変化に対して迅速に変革していくことで、持続的な競争優位性を確立することができます。

外的要因と資産の状況に合わせて行動することこそ、ダイナミック・ケイパビリティの本質と言えます。

日本企業におけるダイナミック・ケイパビリティの成功事例

ダイナミック・ケイパビリティの概念によって持続的な競争優位性を確立できた企業は、日本にも数多くあります。その中でも有名なIKEA、富士フィルム、DeNAを例に、ダイナミック・ケイパビリティの成功事例をご紹介します。

IKEA

もともとIKEAは家具を取り扱っていませんでしたが、取り扱い始めると顧客のニーズがあることがわかり、家具のみを販売する方針に切り替えました。

その後、競合他社がひしめく中でさらに利益を伸ばすために、IKEAは質を下げずに低価格を実現することを目指しました。その結果、家具を組み立て前のパーツの状態で販売するという新しい販売方法を導入しました。購入者が自ら組み立てるため、製造過程で組み立てる必要がなく、これによって人件費や輸送費を削減し、販売価格を低く抑えることに成功したのです。

その後IKEAは急成長を遂げましたが、競争が激化したことで商品の仕入れがスムーズにいかないというトラブルに見舞われました。そこで東欧の家具業者と提携し、商品を他社生産から完全自社生産に切り替えました。自社生産に移行した結果仕入れ不足が解消され、郊外に大型店舗を設け、各店舗で多くの在庫を持てるようになりました。

ダイナミック・ケイパビリティの概念を全面的に取り入れて、顧客のニーズや市場環境の変化にいち早く対応し、新しい販売スタイルを生み出したIKEAは、大きな成功を収めました。

富士フィルム

富士フィルムは写真フィルムを製造していた企業ですが、1990年代にデジタルカメラが普及したことで経営難に陥ります。

同業他社が倒産していく中、富士フィルムは株主価値や利益を最大化することよりも、利益ゼロを避けるために既存の技術や知的財産を再利用することを決めます。自社の写真フィルム技術を活かすことにフォーカスし、液晶を守る保護フィルムの開発・生産に取り組んだ結果、高価なデジタルカメラを守るものとして需要が高まり、事業転換に成功しました。

また、自社のコア技術である画像処理技術をAIに取り入れて、医療を中心としたさまざまな分野に提供しています。

現在では、美容ヘルスケア分野でも成功しています。自社の高度な技術と知識を再利用し、既存の枠組みに捉われない事業展開を行うという、ダイナミック・ケイパビリティに基づいた事業拡大に成功しました。

DeNA

メガベンチャーIT企業のDeNA は、AIを導入するために組織変革を行いました。

DeNAは、1999年にオークションサイト「ビッターズ」を立ち上げたスタートアップ企業ですが、オークションサイト運営で培ったAI技術を応用し、他社との事業連携に踏み切りました。現在ではゲーム事業やスポーツ事業、Eコマース事業にも進出し、多角化企業としての地位を確立しています。

特にゲーム事業においては、強化学習を活かして作業の効率化に注力したり、顧客のニーズを素早く捉えるシステムを導入したりするなど、ユーザーの変化に合わせて自動的に対応できる環境を整えています。こちらもダイナミック・ケイパビリティの概念に基づいた事業拡大が成功した事例と言えます。

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まとめ

市場の変化が激しく、あらゆることが予測できない今、ダイナミック・ケイパビリティの概念は、企業が持続的優位性を持つために不可欠です。しかし、顧客のニーズや市場変化に対応できるシステムがなければ、ダイナミック・ケイパビリティの概念を活用できません。

日本オラクル株式会社では、成長企業を最適化するためのさまざまなサポートを提供しています。ダイナミック・ケイパビリティの実現に向けて、ぜひサービスの利用を検討してみてください。

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