自動運転車両の現在とサプライチェーンとの関係

 2018.09.12  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

人間が運転する車は50年以内に一般道路や高速道路から消えるでしょう
ソフトバンクグループ CEO 孫正義

テレビCMやニュースからも伺えるように世界各地で自動運転の研究が加熱しています。自動運転車両と聞いて想像するのは、人間が運転から解放されて目的地まで何もせずに到着できることかもしれません。さらに車が必要に応じてどこからともなく迎えに来てくれて目的地まで到着したら自らの車庫まで帰るルンバのようなものを想像するかもしれません。

このような私たちが子供の頃観たSF映画のワンシーンは、急速な技術発展とともに現実味を帯びてきています。もしかしたら私たちが想像するよりも早く現実になるかもしれないのです。

今回は企業でサプライチェーンERPなどに関わる全ての方に向けて自動運転技術の現状をご理解いただき、さらには将来の業務システムとの連携に関してご紹介します。

サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話

サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話

製造業・小売業・食品業などモノを"作る”、"売る”、あるいは"流通する”というビジネスに身を置いている方なら誰もが「サプライチェーン」という言葉を耳にするのではないかと思います。
しかしその意味をしっかりと理解している方はどれくらいいるでしょうか?
本ページでは、きちんと理解しておきたいサプライチェーンについて分かりやすく解説していくと同時に、サプライチェーンマネジメント(SCM)として最適なシステム環境について紹介していきたいと思います。

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自動運転車両の現状

たとえば北米における自動運転車両の現状をご紹介しましょう。

  • 北米ではこの3年間に自動運転車両に800億ドルが投資された。
  • カリフォルニア州では55の会社が自動運転車両をテストするための登録をしている(2018年7月20日現在)
  • 予測では北米において2030年までに2,080万台の自動運転車両が運用されるようになる。

トヨタを始めとする主要自動車メーカーはすでにこの自動運転車両開発に関する競争に加わっており、自社開発や提携、買収を通じて自動運転技術に莫大な投資をしています。また、自動車会社だけでなく中堅・中小企業も大学などの研究機関もあらゆるレベルで様々なアプローチを実践しています。

それらの企業群の中には、この自動運転車両技術を輸送トラック運送業界にまで発展させサプライチェーンに組み込むことを計画しています。

自動運転車両による物流革命

たとえば輸送トラック業界で自動運転が主流になれば、物流に大きな革命をもたらすことは容易に想像がつきます。

ユースケースと開発段階で差別化した3種類の主要な適用例をご紹介しましょう。

1.制限区域内での自動運転

現在の状況:すでに実務レベルで活躍

私道、鉱山、採石場、港、その他車両が規則的に運行し、予期せぬ歩行者がいない制限区域は、車両の自律性を試験し実施するには絶好の場所です。

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  • 2015年にリオ・ティントは西オーストラリア州の鉄鉱石鉱山で完全自動の無人トラックを初披露しました。リオ・ティントは2018年3月までに80台以上の自動運転トラックを所有しており、2019年末までに無人トラックを140台以上に増やす計画です。
  • 2016年には、ボルボが地下鉱山で世界初の自動運転トラックをテストしました。

利点:鉱山は危険が満ちているので、鉱山内のドライバーの人数を減らすことはコストを軽減させるだけでなく安全対策にも繋がります。

2.高速道路での隊列走行

現在の状況:研究開発中

トラックの隊列走行は、連結技術や自動走行サポートシステムを使い、2台以上のトラックが連なって走行することです。例えば、高速道路などを、一定区間連なって走る場合、車両は自動的に車間距離を維持します。隊列の先頭のトラックがリーダーの役割を果たし、後続のトラックはリーダーの動きの変化に反応して合わせます。ドライバーは、ほとんど、あるいは全く操作する必要はありません。

情報源: 欧州自動車工業会

同協会ではトラックの隊列走行を実現させるたっめの4つのステップを明らかにしているのでご紹介します。

ステップ1:単一ブランドの車両による隊列走行

隊列走行は車両と車両を繋ぐ高度な技術を必要とします。従って、同一ブランドのトラックで始めるのが比較的簡単だということは容易に想像がつくでしょう。

ボルボは2018年7月に、ボルボVNLトラクターと28フィート・ツイントレイラーから成る3台の隊列走行を高速道路でデモンストレーションしました。ワイヤレスの車両間の通信技術の使用や、後続する2台の車両のクルーズコントロール、ブレーキ、アクセル操作はコンピューターが行いましたが、操縦は人間によるものでした。2番目と3番目のトラックは、1.5秒(時速約96kmで約3.7m)の車間距離を維持することができました。

ステップ2:多種のブランドの車両による隊列走行

一般的に考えて車両の隊列は異なるブランドでも行えることが望ましいと考えられます。なぜなら世界に存在するトラックのブランドは1社ではないからです。そこで、次に目指すのはマルチブランド車両による隊列走行となります。しかし、残念ながらこの技術はまだ披露されていません。マルチブランド車両による隊列走行には、通信プロトコルの標準化が必要となります。

ステップ3:後続トラックのドライバーは走行中に急速できる

この段階では、ドライバーは隊列の一番前のトラックにだけ乗っていて、他のトラックはすぐ後ろに続き、自動で操縦されることになります。

ステップ4:完全自動運転トラック

ドライバーは先頭のトラックにも必要ない状態です。

利点:隊列走行は燃料の経済性を向上させます。近接して後続走行するトラックは、相互のトラックを前方に「押す」空気の流れをひき起こします。後続のトラックは空気抵抗を減らし、燃料効率を上げ、二酸化炭素の排出量を減少させることが可能になります。

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3.高速道路および一般道路での完全自動運転トラック

現在の状況:研究開発段階

ステップ1:特定の高速道路での完全自動運転トラック

まず第一に、技術や規制の制限により、完全自動運転トラックは、高速道路のような特定の道路しか走行できない可能性が非常に高いものです。制限区域でのトラック走行は人間のドライバーがなお必要とされます。その場合、考えられる2つのシナリオが存在するでしょう。

  • 専用のドライバー。ドライバーは常にトラックに乗車し高速道路を自動運転で走行中に休むことができます。そして、高速道路から一般道路へ降りる時には、ドライバーが操縦を引き継ぎます。
  • オンデマンド式ドライバー。トラックが制限区域を走る時だけ、ドライバーがトラックに乗車します。そのような区域を離れると、ドライバーはトラックから降りることができます。ドライバーは次に入ってくるトラックをそこで待ち、その区域に運転して入ります。手の空いているドライバーとトラックの組み合わせは、高度な輸送管理システムを使って管理する必要がでてきます。そのようなシステムは、ドライバーの乗り降りの場所とタイミングを調整することができるでしょう。

ステップ2:全ての道路を走る完全自動運転トラック

最終目標は、現在トラック走行が許可されているすべての道路を、完全自動運転トラックが走行できるようにすることでしょう。そこに到達することができれば運輸・輸送業界が抱えるドライバー不足の課題は大きく軽減されます。さらに、自動トラックを企業が保有すれば昼夜を問わず物流を実践できます。

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まとめ

自動運転技術は日進月歩の進化を遂げています。自動運転トラックと倉庫が今以上に連携し高度な機能を持つ輸送管理システムや倉庫管理システムによって統制されれば、サプライチェーンの未来に多くのチャンスが見出されることは間違いなさそうです。

このようなことが起きることを事前に捉えてオラクルでは製品開発を行なっています。Oracle ERP Cloudは、未来を予測して常に最新の技術を取り入れて行くのです。

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