会計ソフトへのAI導入は業務にどんな変化をもたらすか

 2018.11.08  クラウドERP編集部

企業にとって、毎月の経理処理や決算処理を支援する会計ソフトの活用は不可欠なものです。会計ソフトは、各社から多様な製品が開発・販売されており、近年ではクラウド型サービスや人工知能(AI)と連携したり搭載したものもチラホラと出始めています。

クラウドやAIといった新しいIT技術を取り入れることで、ソフト提供ベンダー側は競合との差別化ができます。クラウド上で取得したデータを学習するため、より高度な判断能力を実装することも可能です。自動化によって業務の効率化が実現し、余剰時間を別の業務にあてることで、利用者側にも新たな付加価値を生み出すことができます。

この記事では、会計ソフトにおけるAI導入と、それにより起こり得る変化について取り上げます。

会計ソフトの登場からこれまでの進化

企業や個人事業主などの会計を記録し、処理するソフトウェアのことを一般的に「会計ソフト」と呼びます。 企業は1980年代頃から高価な業務システムに代わり安価なPCを導入しはじめ、会計ソフトにより会計・経理業務の電子化・効率化を推進しました。なかでも「弥生会計」などが、その代表格です。

さらにERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれる、組織全体の経営効率化を目的とする基幹系情報システムとの統合も進められました。

2010年代になると、ソフトウェア機能をインターネット上で仮想的に利用するクラウドサービスが登場しました。会計ソフトにも、クラウド型の製品が多数流通しています。現在は自社でサーバを持たずにクラウドでシステムを利用する流れが進んでいることから、クラウド会計ソフトの利用が増えています。MM総研(リサーチ会社)の調査結果によると、2018年3月末でクラウド会計ソフトの利用率は14.7%。2017年12月に行われた調査よりも1.2ポイント増加しており、事業継続年数が若い企業ほど利用意向が高い結果が出ています。

代表的なパッケージ型会計ソフトとしては、弥生会計、勘定奉行シリーズなどがあります。クラウド型会計ソフトでは、freee、MFクラウドなどが有名です。

今後注目すべきは会計ソフトへのAI導入

そして、ここ数年は人工知能(以下AI)の実装によるソフトの機能向上が注目されています。人工知能とは、人間の脳の働きを模して学習・推論・判断などをコンピュータ上で実現する技術です。 特に機械学習と呼ばれる手法なら、入力データと出力データがセットになったもの(教師データ)を使ってAIが学習することで、人間よりも正確に早く答えを導き出すことができるようになります。

たとえば会計分野であれば、費用と勘定科目のセットをAIが学習することで、どの費用がどの勘定科目にあたるかを自動で振り分けることが可能になります。また画像認識技術と呼ばれる、画像に含まれる文字や画像を判断するAIを利用することで、レシートや領収書の画像から文字や金額を読み取り、自動でシステムに入力することもできるようになります。

このような振り分け作業は、イレギュラー対応が少なくAIが得意とする分野です。 会計・経理系の業務にはこのような定型作業が比較的多いため、AIを導入することにより業務の大幅な効率改善が期待されています。

すでにAIが導入されている会計ソフト

AIはすでに各種会計ソフトで実装が進んでいます。代表的な3つの会計ソフトにおけるAI機能について簡単に紹介します。

freee

クラウド会計ソフトのfreeeでは、AI導入を積極的に進めています。

2016年には自社に「スモールビジネスAIラボ」を設立し、会計ソフトでの自動仕訳に関する特許も取得しています。

この特許技術は「仕訳登録AI」としてfreeeに搭載されています。

これは、クレジットカードの明細や銀行口座の情報を入力するだけで、自動で勘定科目に仕分けてくれる機能です。

また、freeeの学習機能を利用するユーザーが増えれば増えるほど、AIの学習データが蓄積されて推測の精度が高まる強みもあります。

画像認識機能とOCRによる読み取り機能も実装しています。アプリ版ではスマホのカメラでレシートを撮影することで、97%の精度で日付や金額を読み取ることができるようになっています。

加えて、中小企業を中心に、試算表の作成に必要な月次監査業務を効率化・自動化する「AI月次監査」機能も提供を開始しています。

MFクラウド

マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトMFクラウドでも、AIによる勘定科目の提案機能を実装しています。

また、AIチャットボット機能も搭載しています。

チャットボットのあかりさんは、有人のチャットサポート対応時間外の問い合わせ窓口として対応するものです。AIチャットボットと名付けられていますが、AIが自由に会話するわけではなく、基本的には事前に用意されたシナリオに沿って会話を進めるかたちです。

HUE

ワークスアプリケーションズが提供するのが人工知能型ERPのHUEです。前述の2ソフトがビッグデータを学習するタイプのAIであるのに対し、HUEでは自社内の業務ログを解析・学習するのが特徴です。自動仕分け機能のほか、決算時のエラーチェック機能や高度なサジェスト機能などを搭載しています。

AIの大前提はデータであり、真のAI活用のためにはERPが必要

AIというのは元になるデータがないと学習できません。つまり会計ソフトという限られたデータだけですと真に企業が必要なAIによる成果が出しずらい状況ということになります。

また、財務部門は会計ソフト、受発注ソフトは購買部門、見積り請求ソフトは営業部門が使うというようにサイロ化されたソフトウェアの展開は企業に無駄な作業を強いることで生産性が悪化します。そういう意味では会計ソフトのAIの前に、企業の全体最適を可能にするERPの導入を検討した方が良いケースもあるでしょう。

企業の生産性向上やAIがもたらす価値を真剣に考えた場合には、会計ソフトという局所的なAIではなく業務システム全体の企業データを活用してAIを実現することが重要になってきます。

例えばOracle ERP Cloudでは財務会計、サプライチェーン、人材、顧客対応などあらゆるアプリケーションの統合データにAIが対応することで全社の生産性向上と競争力強化を実現しようという取り組みがなされています。もし、貴社が将来的な成長を望む場合にはクラウド会計とともにクラウドERPについても検討すると良いでしょう。

AI機能を搭載したERP

会計の世界にAIの導入が進むと、どんな変化が考えられるか

慢性的な人材不足を補うためにも、業務の自動化・効率化はさしせまった課題となっています。会計や財務の分野では、ソフトにAIを導入することで、従来人手で行っていた記帳業務や仕分け業務などの煩雑な事務作業を自動化し、業務の効率化を目指しています。

またAIだけでなく、最近ではRPA(Robotic Process Automation)と呼ばれる事務作業の効率化技術も会計ソフトに組み込まれはじめています。これは、人間が行っている定型業務を記録することで自動化する技術のことです。

AIやRPA、これら技術の導入意図としては、できるだけ人間が行う作業を減らすことにほかなりません。人間は、もっと付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。なかでも、会計は自動化の影響を強く受ける分野だと言えるでしょう。

2017年12月に転職サイトのエン・ジャパンが公表した調査結果(『ミドルの転職』コンサルタントアンケート集計結果―)によると、転職コンサルタントがAIに代替される可能性が高いと考える職種は「経理・財務・会計系」がもっとも多く、42%でした。

アンケート回答では定型作業が多いことが理由に挙げられているとおり、従来型の経理部門や会計士といった職種はAIに業務を代替される可能性が高いと言われています。しかしそのデータを分析してビジネスに活用する能力は、変わらず人間に求められている力です。そして、事務処理型であった経理部門の役割は、経営層の意思決定を支援する高度な役割に変わっていくと考えられています。

まとめ

会計業務は、クラウドやAIといった新たな技術を取り入れながら進化を続けています。

特にAIがビジネスに与えるインパクトは少なくありません。今まで時間がかかっていた仕分け業務を自動化したり、過去の情報から入力支援を行ったりすることによって、人間が行う作業を効率化できます。これにより生み出される時間は、より高度で付加価値が高い業務に割り当てられるようになるからです。 組織として、会計担当者に求めるスキルにも変化が生まれるでしょう。

会計・経理業務に携わる方にとっては、今まで以上にITスキルが求められるようになってくることが考えられます。新たな技術にうまく対応し活用するために、常にアンテナを張っておくようにしたいものです。

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