ODMとは?OEMの違い

 2017.03.03  クラウドERP編集部

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自動車、電化製品、食品など製造業において従来から活用されているOEM。製造メーカーにとっては生産面において様々なメリットがありつつも、デメリットも存在する生産方法です。

しかし、ODMに対して否定的な消費者も少なくありません。

最近の具体例で言えば、VAIOブランドのスマートフォンとして話題になった「VAIO Phone」が、台湾のODMメーカーであるQuanta ComputerのODMで販売を行っています。

参照:「VAIO Phone」は世界に羽ばたけるか? スマホ低コスト化の理想と現実
(http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1505/28/news140.html)

製品自体に悪い部分はないにしても、消費者のODMに対する否定的な考えからあまり評価の上がらなかったケースです。

なぜ、上記のようなケースが発生してしまうのでしょうか?

今回はODMの基本やOEMとの違いについて解説しつつ、ODMを成功させるポイントについて考えていきます。

ODMとは?

「Original Design Manufacturing」の略語であるODMは、製品の製品開発から設計、製造までを行い、委託者が製品を販売するという生産方式です。

前述するスマートフォンやパソコン業界に特に多い生産方式であり、消費者がODMと気づかずに使用している製品も多く存在します。

日本のスマートフォン業界は特に分かりやすいODMであると言えます。

例えばNTT docomoで販売されているスマートフォンの多くは、SONYやFujitsuといった製造メーカーが製品開発/設計/製造まで行い、最終的にNTT docomoというブランドで製品が販売されます。

ODMメーカーによってはマーケティングまで行う企業も多く、中には物流や販売に至るまでODMで提供する企業も存在します。

また、受託者が製品の設計/企画/技術情報を委託者に提供し、ODMをオファーするケースもあり、ODMは時代と共に多様化した生産方式でもあるのです。

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ODMとOEMの違い

ODMと混同されがちなOEMについて解説します。

OEMは「Original Equipment Manufacturing」または「Original Equipment Manufacturing」の略語であり、委託者のブランドで製造する生産方式、あるいは生産する製造メーカーを指します。

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ODMとの大きな違いは、製品開発や設計を委託者が行い、詳細設計や組み立て図などに至るまで受託者に提供します。それを受けた受託者が製造を行い、時には委託者から技術提供を受けることもあるのです。

OEMを採用するメリットは設備投資の削減、生産能力不足のカバー、設備投資の削減などが挙げられ、製品導入期から成熟期/衰退期に至るまで新製品開発に注力できるというメリットもあります。

一方で生産が生み出す利益は得られないことや、生産ノウハウや設計技術などを受託者に吸収され、将来的に競合となる可能性があるというデメリットも存在します。

受託者の技術水準が委託者と同等あるいはそれ以上にあることが条件のODMに対し、OEMは委託者の技術水準が高く垂直的分業となる事が多い生産方式です。

OEMとして身近な具体例はApple社のiPhoneです。Appleでは製品開発から設計、企画、生産スケジュールに至るまでを完全にコントロールし、製造メーカーに生産のみを委託しています。

ビデオ:英国の製造小売業Trunki

ODMのメリット

では、生産方式としてODMを取る事で、委託者と受託者にはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?

委託者のメリット

委託者としての最大のメリットは、製品開発や生産に関する技術/ノウハウが無くとも、ブランドとして製品を販売できる点にあります。

極端な話、技術/ノウハウがまったくない企業でも、ODMによって自社ブランド製品を販売することができるのです。

前述したVAIO Phoneの事例では、VAIOは元々ミドルレンジスマートフォンの開発技術が持ち合わせていなかったため、Quanta ComputerのODMとして製品を販売しました。

また、製品開発/設計/製造のプロセスを省略でき、技術者や作業員を確保する必要がないためコスト削減にも繋がるケースが多いのです。

受託者のメリット

一方、受託者としてのメリットは、高い生産技術やリソースを有効活用し、利益の向上を図ることができます。また、生産に付随する利益(更なる技術向上)なども望めるため、将来的に自社ブランド開発が行えるなどのメリットもあります。

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ODMのデメリット

委託者のデメリット

委託者のデメリットとしては製品単価が上がってしまうのが、最も大きなものと言えます。製品開発から生産まで製造メーカーに委託し、さらには自社の利益も出さなければならないので、必然的に製品一つあたりの単価は上がってしまいます。

従って、製品に新たな付加価値を付けなければ、自社開発/生産を行う競合に負けてしまう可能性が大いにあるのです。

それ以外にも、委託者は開発技術や生産ノウハウを吸収できないため、自社開発/生産企業として成長できないというデメリットもあるので、ODMを採用する際は注意が必要です。

また、委託する製造メーカーによっては自社製品を勝手に模写してしまうといったケースも少なからず存在するので、契約書を締結するなど慎重に契約を進めることが大切となります。

受託者のデメリット

OEMの場合、受託者は委託者の協力企業として下位の立場に置かれるというデメリットがありますが、ODMでは受託者が設計や生産まで行うため、この色合いが薄まる傾向にあります。

従って、受託者にとっては特にデメリットはないとされていますが、製品に対するクレームや訴訟問題が発生した際は、受託者がバッシングを受けるといった傾向にあります。

2015年に建設業界を大きく揺らした「杭打ち問題」でバッシングを受けたのは、マンションの販売を行った大手不動産会社ではなく、実際に建設を行った下請け企業でした。

このような訴訟問題は発生した場合、海外では販売企業が集中的にバッシングを受ける傾向にありますが、日本国内では下請けがバッシングを受ける傾向にあります。

従って、ODMメーカーとしてはクレームや訴訟問題へ迅速に対応できるよう、リスクマネジメントを徹底する必要があるのです。

ODMを成功するには製造メーカーと如何に関わるか

いかがでしょうか?今回ODMの基本について解説しましたが、最後にODMを成功させるポイントについて一つ紹介します。

ODMでは製品設計から生産に至るまで製造メーカーが行うため、それまで製造してきた製品に類似してしまうというリスクがあります。

この場合、消費者は他製品の二番煎じと認識してしまうため、販売数や売り上げがなかなか伸びないといった危険性があるのです。

こうしたリスクを避けるためには、製品設計や生産を委託しつつも、製造メーカーとコミュニケーションを取り、製造へ積極的に関わることが重要です。

その分ODMコストが上がってしまうケースもありますが、自社ブランドとして特徴をしっかりと反映させることが、ODM成功ポイントの一つだと言えます。

ODMを採用する際は、メリットとデメリットのバランスを考慮しつつ、効率的な生産を行えるよう製造メーカーとの協力を図っていただければと思います。

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