15年後の経理部門を大胆予測。未来の会計、経理は受難時代!?

 2016.02.23  Kii株式会社 齋藤 和紀 氏

突然ですが、15年前、今のこの世の中を想像できたでしょうか?

アメリカの著名な発明家であり、フラットヘッドスキャナーやシンセサイザーを発明し、最近グーグルの経営陣に加わったレイ・カーツワイルは、「2029年までにコンピューターの集積度は人間の脳を超える」と言います。

ムーアの法則はシリコンチップの集積度の法則ですが、カーツワイルの主張はそのスピードの加速化は真空管やトランジスタの時代から続いており、またこれからも続くというもの。彼はゲノム解析プロジェクト完了時期やチェスにおいてコンピューターが人間を負かす時期などを正確に予測したことでも有名です。

もちろんこれはコンピューターの集積度の話であり、コンピューターが人間と同じ能力を有するようになるとは言えません。しかし、それに限りなく近い世界がやってきたとき、何が起こるでしょうか。その時期はもう約15年後に迫っています。

会計プロフェッションはいなくなる

2014年にHumans Need Not Applyという動画がイギリスで発表され話題になりました。

 

 

直訳すれば、「人間はこの仕事に応募しないでください」という意味です。この動画ではいかに筋肉労働がロボットの置き換えられていったか、今後知的労働が人工知能に置き換えられるかを説明しています。

この動画だけではありません。多くの調査機関や政府機関が今後10~20年以内に今ある業種の40~50%がなくなると予測しています。事務員や臨床医師、弁護士やタクシードライバーなどがここには列挙されています。残念ながら、会計士や経理部門もなくなる業種であるとされています。

そう、残念ながら、会計プロフェッションという仕事はなくなります。

あなたが現在苦しんでいる(楽しんでる?)決算も申告書作成も監査もほぼ確実になくなります。これはしょうがないでしょう。20年前を思いだしてください。経理部といっても当時はメインフレームに仕訳を打ち込むためのキーパンチャーがいましたし、現金を数える出納員が必要でした。今はほとんど見ない風景です。

未来の経理はどうなるのか

では、いかに人工知能やロボットは会計プロフェッションを置き換えていくのでしょうか。人間の脳は自らの過去の経験からしか未来を推測することができません。それは経験という軌跡を直線的に伸ばした未来です。しかし、実際のテクノロジーは想像できない爆発的な進化をします。今は思いもしなかったことが常識になるのです。

だから、今後の会計がどうなるのか、本当のことは誰もわかりません。でも大胆に予測してみましょう。

“入力(という不毛な)作業はなくなる”

ERPに関するお役立ち資料

IoT化が進み、2020年までに数百億の身の回りの機器がインターネットにつながるといわれています。この数字、300億でも500億でもそれ自体に意味はありません。そこから先もう止まることのできない通過点を超えて“分けわかんない状態”になるという点において重要です。カオスとも言います。意味不明な興奮状態かもしれません。

工場のデータも店舗のデータもネット上のマーケティングデータも在庫のデータも物流のデータも文房具の使用量もあなたの身体状態もなにもかもすべてインターネットに吸い上げられるのです。データ量も今の数兆倍とかに簡単になります。

“数値(という過去)の判断はもう人間にはできない”

今は、人間が意味づけをしてあげないとほとんどのデータは意味を成しません。しかし、IoT化の時代、そもそもデータが多すぎて人間の限界を超え、膨大なデータを意味づけするのはどんなに徹夜してもできなくなります。それは人工知能に任せましょう。奴らは最初のろまでバカでしょう。最初は人間が教えてあげる必要があります。

例えば、人工知能は、最初は製品在庫と仕掛品の違いが判らないかもしれません。「馬鹿だな~、お前、番号の頭にWがついていたら仕掛なんだよ!」とか人間が教えてあげなければいけません。でも、奴らは単純なラーニングで独自の差別化ポイントをすぐに見つけます。(だってWikipediaの膨大な情報を瞬時にサーチできますし)そして、すぐに人間を超えます。

人工知能は上がってくるデータを見ただけで、工場の稼働状態とか従業員の健康状態とか資金繰りとか自分で判断できるようになります。「えーっと、借方が売掛金で貸方が売上で~、あれ?逆?」とか人間が迷っている間に2億行くらいの仕訳を書いています。きっと。最新のクラウドERP会計ソフトすでに人工知能と連結され始めていますし、それを前提として作られています。もし「CDでインストールして~」とかの会計ソフト使っていたら結構焦ったほうが良いです。

“資料(報告書・申告書)の類がなくなる”

すべてのデータを人工知能が判断するとき、それでも申告書は自然言語で(つまり人間が理解できる言葉で)書かなければいけないかもしれませんが、すべてのデータは人工知能がもうすべてそろえてくれています。思った通りのことをすぐに自然言語で書いてくれるようになります。しかも、今よりもっとかっこよく確実にデータに基づいて。

事業報告書の類とか「2020年のオリンピックに向けた需要の高まりにより~」とか「中国人旅行客の爆買に代表されるインバウンド消費の拡大により~」とか、ついつい書き始めたくなるのですが、人工知能はそんなの、おみとおし。英語コンプレックスなあなたも気にする必要はありません。最初から英語で書いてくれますよ。(なんならエスペラント語でも)

“そもそも会計の目的相手もいなくなる”

税務申告書とかは人工知能が作ってくれるとして、フォームや提出方法はうどうなるかわかりません。だってそれは行政のスピード次第だから。

ビジネスの世界と行政の世界は、空気の層みたいなもので、上の層でジェット気流が吹いていても、下の層はポカポカ陽気だったりします。でも、その層の間の気温差がタービュランスを生み、そして、経理部門の乗った飛行機はいつも揺れます。

いつまでもカーボン複写で出す人やB6(源泉徴収票)とかに無理やり小さい字で詰め込んで出したい人はいるのでしょう。行政もなかなか難しいです。でも、投資の世界などは違います。もうすでに、有価証券報告書の読み手は人間ではなくなっています。

アルゴリズム取引とかに使われる人工知能は有価証券報告書とかも読むでしょうが、もっと早い情報を求めています。今彼らが読んでいるのはツイッターです。2013年にAP通信のツイッターアカウントが乗っ取られ、ホワイトハウスで爆発との嘘ツイートされた際、その瞬間にウン百兆の時価総額が乱高下しました。その間約3分間程度です。明らかに人間の仕業ではありません。もしくは神の手を持つ人間?

http://www.theatlantic.com/technology/archive/2013/04/what-happened-to-stock-markets-when-the-aps-twitter-account-was-hacked/275230/

そうなると、たとえ自然言語で書かれていても、読む相手の職業がいなくなっているのですね。(おそらく税務署員も・・・)だとすると、そもそも申告書のような類のものを作る必要はないはずです。税額も自分で計算する必要はないはずです。

保険会社からくるよくわからないはがきをつけて人事に「期限遅れていますけど!」って怒られながら、年末調整資料を出す必要もなくなるのです。だってもう人事も担当者いないから!

実は会計プロフェッションのユートピア

いろいろ考えていくと、会計プロフェッションという仕事はなくなるのは確実な気がします。でも、果たしてそうでしょうか。私の仕事はなくなるのでしょうか。給料はもらえないのでしょうか。私は思うのです。

“やりたきゃやればいいだけ”

なぜなら、もう、会計プロフェッションは不毛な仕事をやらなくて済むのです。過去の集計を延々と続けていなくてもよくなるのです。過去から解放されて未来に向けて自由になるのです!
前述の様に、おそらく過去の集計業務では人工知能には勝てません。同じようにGoogle検索とWikipediaとYahoo!知恵袋とAmazonの購買履歴すべてを味方につけた人工知能には過去を延長の単純な予測でも太刀打ちはできません。(Amazonはなぜかうちが子供のおむつを買うタイミングを知っているようです。)

人間は奴ら(人工知能)を欺く未来を考えることを楽しめばよいのでしょう。会計プロフェッションの大半は、集計事務作業ではなく、将来の事業計画を練っているときのほうが楽しいはずです。

そもそも経営に携わりたいから会計の仕事を選んだ人も多いと思います。人工知能が「膨大なデータから見て今晩は麻婆豆腐を食べる人が多い!」って判断したなら、それに難癖をつけていろいろ奴らに試行錯誤させてみたらよいのです(僕は麻婆豆腐が大好きです)。なくならない仕事にデザイナーやコピーライターがある理由がわかります。

また、ロボットや人工知能がユートピアを作り出すからと言って、人間は単なる生殖活動マシーンになるもの面白くないですね。ロボットが進化したところで、結局のところ人間の相手は人間がする時代はしばらく続くと思います。なくならない業種に、教師やソーシャルワーカーや介護士が入っている理由をよく考えましょう。

ロボット・人工知能の進化で、エネルギーも食料も不安のない時代が来ます。そうしたら、人間が人間にとって面白い世界を、機械を欺きながら作っていくのです。会計プロフェッションには過去とは非連続な事業の創造能力が求められます。

なんだかワクワクしますね。

現在すでにクラウド型の会計ソフトやERPが世の中に広がっています。

入力事項はしっかりとした仕訳パターンがセットされていれば、自動仕訳されトランザクションにあった課目に割り当てられたり、ステータスが変わったりします。レポートは、自動的に出てきますので、現段階でも会計プロフェッショナルが、行なう仕事はかなりの部分自動化が可能となる訳です。

もちろん正しい運用やコンプライアンスの観点から、会計プロフェッショナルの仕事は形を変えようとしているわけですから、是非このようなツールを評価してみてはいかがでしょうか?

著者紹介

kii_saito_sama齋藤 和紀氏
(Kii株式会社 ファイナンス・ディレクター兼コントローラー)

2013年9月Kii参画。以来、成長期にある同社の管理部門全般を統括。シリコンバレーを主とした海外投資家、シリコンバレー大手IT企業からの資金調達をリードし成功させている。それ以前には、米大手石油化学メーカーの国内10社以上の経理業務を統括する国内グループの経理部長や、米系コンピューター会社日本法人のファイナンスマネージャーの要職を歴任し、成長期や過渡期にある企業を財務経理のスペシャリストとして支えてきた。2008年には金融庁国際会計調整室において政府のIFRS採用計画策定に参加。早稲田大学卒、同大学院ファイナンス研究科修了。

Kii株式会社について

Kii株式会社は日本発のグローバルなIoTプラットフォーマーとして注目のベンチャー企業です。同社の中核サービスである「Kii Cloud」IoTプラットフォームや同社が北米を中心に展開する「Space」IoTエコシステムは、世界中の大企業からスタートアップに至るまで、様々なIoT製品やモバイルアプリを支えるツールとして利用されています。シリコンバレー、東京、上海、香港、台湾、スペイン、ロンドンにメインのオフィスを置き、グローバルに事業を展開しています。Kiiは業務革新にも最先端技術を積極採用、シリコンバレースタンダードのクラウドERPであるネットスイートが急成長するKiiの事業基盤を支えています。

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